世界的課題の認知症 注目される“アミロイドβ“とは
コメント
注目のコメント
「認知症」が世界各国で抱える社会課題であるは、多くの方が認識されているものと思います。企業や大学での研究、各国・地域での支援活動、また医療における取り組みなど、様々な話題を耳にする機会が多くなってきています。一方で、このメガトン級の課題に対応するための、検査分野における話題を知る方は多くないように思います。
当該記事では、アルツハイマー病における検査の役割を解説しています。発病メカニズムの基礎的なところを踏まえながら、検査の役割を、特に「アミロイドβ」検査に期待する役割を、しっかりと理解できる形で書いています。確かな情報をもとに、一般の方に向けて(主には病気や医療の情報に関心が高い患者さんや医療に関わる方に)わかりやすい内容で書いていますので、病気と医療、ならびに医療技術(検査)への理解と情報収集の場としてご活用ください。また、これらの情報は、今後の健康社会を築くうえで役に立つ情報であるとともに、皆様のビジネスヒントにもなりえるものと思いますので、ぜひ、一読ください。
医療と技術がつながる情報をお届けしています。アミロイドβが蓄積して起きる認知症をアルツハイマー病というので、これって進次郎構文なんだよね。アミロイドβやτタンパクが蓄積する理由が分からない限り、原因が特定できたとは言えないよね。
---
認知症のなかでも最も割合の高いアルツハイマー病。その発症メカニズムや病態進行の仕組みについてはまだ十分に解明されていないが、アルツハイマー病患者では、脳が萎縮し、大脳皮質を顕微鏡で見ると「老人斑」と呼ばれるシミのようなものや、「神経原線維変化」という異常な線維が見られることが特徴である1)。
老人斑はアミロイドβが蓄積したもの、神経原線維変化はリン酸化という化学的に修飾を受けたタウ※3が線維を形成し蓄積したもの1)で、「アミロイドβ」、「タウ」というタンパク質がアルツハイマー病の発症にかかわっていると考えられており、治療や予防の標的として各国で研究が進んでいる。疾患修飾薬が登場するDMT時代(Disease Modifying Therapies)。治療薬の効果を最大化し、医療経済の観点からも重要となるのが患者の層別化。そのために診断のあり方が大きく変わっていくことが想定される。本稿で挙げられているような血液バイオマーカーに加え、SaMDによる画像診断など、これらの合わせ技によって、患者の層別化の精度を如何に安価に、如何に確実に行っていくかが重要になる。特に、単一バイオマーカーではない形でのアプローチの際に見落としてはいけないのは、患者が高齢になればなるほど、混合病理と呼ばれアミロイドβ単体では無くなったり、或いはSNAP(Suspected non-Alzheimer disease pathophysiology)と呼ばれる疾患が現れているため、この投与対象者の選択の課題は大きくなる。
医療財政の観点からもDMT時代は、患者選択がますます重要になるが、本質的に重要なことはDMTというだけではなく、それらもまたそれ以外の介入アプローチも含めて、如何に経済的に、肉体的に低い負荷で安全な治療介入を患者に届けることで自身とその家族のQOLを向上させることができるか。そのために何ができるがが中枢神経領域の医療の課題である