アムジェン、ホライズン買収で合意-278億ドル、2社との競争制す
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製薬の話題ですが、IT業界で例えたら、FacebookがInstagramを買収したみたいなものでしょうか。
アムジェンというのは、元々ジェネンティックと並んで、新興バイオテクの一番、二番を争う会社だったのが、売上も大きく伸び、今では、ビッグファーマの仲間入りをしている会社です。
伝統的な製薬会社は、化学合成の医薬品が強いのですが、バイオ医薬品は、スタートアップが強いのです。バイオ医薬品は、化学プラントではなく細胞を使って医薬品を製造することが、大きな違いです。アムジェンはエリスロポエチンの製造で資金を作り、その後、抗体医薬品を創出する企業となりました。エリスロポエチンというのは、腎臓が行っている重要な副業を担っているタンパク質です。腎臓は、血液中の老廃物を濾し取るというのが仕事ですが、エリスロポエチンを産生し、エリスロポエチンによって骨髄で造血(赤血球などが作られること)が促されます(ダスキンがダスキンのお掃除だけでなく、ミスドもやっていたような驚きはないでしょうか)。腎疾患で透析を行っている患者は、エリスロポエチンの合成能力も衰えていることが多くあり、透析患者へのエリスロポエチンの投与は極めて重要です。
その後、アムジェンは、間接リウマチなどを含む自己免疫疾患薬として抗体医薬品エンブレルを発売し、ブラックバスターにします。売上は毎年、年間で80億から90億ドルの売り上げ(1ドル100円換算でも8000億円~9000億円、実際に1兆円以上ということでしょうか)を記録する大型製品です。
しかし、製薬業界は、新しい医薬品を出し続けなければいけません。特許切れが起きるとジェネリック医薬品が販売され、価格がさがってしまいます。バイオ医薬品は、化学医薬品に比べれば製造が難しくバイオシミラーは、参入障壁が高いと言われています(医薬品規制をするFDAが製造プロセスも審査を行う)が、それでも薬価は下がり、シェアも奪われていきます。そこで新薬を企業買収を通じて手に入れるというのが、ビッグファーマが近年、行っていることです。
ホライゾン社は、パセドゥ病(甲状腺ホルモンの過剰分泌による疾患)に伴う眼の病気の治療に使われる抗体医薬品をパイプラインにもつバイオスタートアップのようです。希少疾患で新規医薬品のパイプラインを補うことは、数多くみられており、注目すべき流れだと思います。