エリザベス英女王が死去、96歳 歴代最長在位70年、安定の象徴
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エリザベス女王は、ポップカルチャーのアイコンでもありました。
ビートルズのアルバム「アビーロード」には、ポール マッカートニーが書いた 「Her Majesty」が初の隠しトラックとして録音されているし、
セックスピストルズは「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」を歌って、そのタイトルは黒塗りにされたままチャートを駆け上がって一位を記録するという伝説を残した。
アンディ・ウォーホルは「エリザベス女王のように有名になりたい」と言って
その肖像画をシルクスクリーンプリントして、バンクシーは活動初期、女王の顔にガスマスクを付けた肖像画を切手風にアレンジしたり、顔をチンパンジーに差し替えた「モンキー・クイーン」を制作しています。エリザベス女王を描くのはポップアートのしきたりになっていたのです。
先日開催された在位70年「プラチナ・ジュビリー」を祝う祝賀コンサートでは、パディントンベアと一緒にスプーンでリズムを取りながらクイーンの「ウィー・ウィル・ロック・ユー」を紹介したし、ロンドン五輪のオープニングでは、映画「007」シリーズの俳優ダニエル・クレイグと共演し、ボンドが女王を迎えに行って、2人がヘリコプターから飛び降りてスタジアムに登場するというパフォーマンス映像まで披露して会場を盛り上げた。
60年代のスウィンギング・ロンドン、70年代のパンク・ムーブメント、90年代のクール・ブリタニアという、3世代に渡るイギリスのポップカルチャー、つまり大衆文化にはからずとも貢献してきたロイヤル・ファミリーは稀有な存在で、世界広しと言えど、エリザベス女王以外、見あたりません。
実際のイギリスでは何度も王室廃止論が議論されてきたし
これを機に議論が再熱すると思いますが、
いまはただ、ひとつの時代が終わったことを痛感しています。
心からご冥福をお祈りします。「ロンドン橋が落ちました。」The Guardianが2017年に女王崩御時の段取りに関する長編記事を掲載しており、英国に特にゆかりがない人にとっても、英王室そしてエリザベス女王についての理解を深めるうえで一読に値します。
https://www.theguardian.com/uk-news/2017/mar/16/what-happens-when-queen-elizabeth-dies-london-bridge
「大国イギリスを見送った鎮魂歌はチャーチルの葬儀だったと聞かされたものだが、女王がお亡くなりになるときこそ、本当にその終わりなのだ。」とは、ある著名歴史家の言葉。56カ国からなる英コモンウェルスの長の立場は世襲性ではなく、昨日より空位に。
まもなく戦後80年。日本では1956年の経済白書が「もはや戦後ではない」としたことが有名ですが、国際的な戦後レジームはいま大きな岐路に差し掛かっています。長きにわたり英コモンウェルスと世界を見守ってこられたエリザベス女王もその行末を案じておられたのではないでしょうか。
敬愛された女王のご冥福を、心からお祈り申し上げます。
10年前のロンドンオリンピックで流された、ジェームズ・ボンドとの共演動画
https://www.youtube.com/watch?v=1AS-dCdYZbo26歳から96歳まで、70年間もの長きにわたり、英国女王という地位を超えて世界の女王という圧倒的な存在感で敬愛されていらっしゃいました。
プラチナジュビリーの祝典を終え、新首相を任命するという務めを果たし終えた後のタイミングでの崩御。最後まで君主としての責任を果たされたのだなあという深い感慨があります。バッキンガム宮殿には二重の虹がかかったようですね。
象徴としての地位を超えてお人柄がなんともチャーミングで大好きでした。個人的には、女王について著書や新聞・雑誌などで多数の記事を書かせていただき、そのたびに新しいことを学ばせていただきました。感謝してもしきれません。
長い長いイギリス史のなかでも、「エリザベスII世時代」はひときわ鮮やかに彩られることでしょう。悲喜こもごものカラフルなできごとがこれでもかと続き、それでも常に女王の不動の安定が「ザ・ユナイテッド・キングダム」を支えてきました。「ワンスタイル・マルチカラー」の女王スタイルさながらに。
ありがとうございました。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。