「マイナ保険証」患者負担軽く 既存の保険証より割安に
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マイナンバーカードを持つことのメリットを増やすために、マイナンバーカードと運転免許証や健康保険証との一体化を決めたのに、気づいてみれば「マイナ保険証」を提示すると患者負担が増えてしまうという本末転倒なことが今年の4月に起こってしまいました。これは、マイナンバーカードと保険証の紐付けを増やそうとした厚労省が、普段接点のある医師会など医療機関だけの話を聞いて戦略を立ててしまったからだと私は睨んでいます。これにより、医療機関はすでにマイナンバーカードを持っている患者に保険証との一体化を勧めてくれるかも知れませんが、患者の側に立てば今よりも支払い負担が増えてしまうのにマイナンバーカードを新たに取得するとは思えません。
「マイナンバーカードと保険証の結びつきを増やす」という目の前の目的を果たそうとするあまり、「マイナンバーカードの新規発行を増やす」という「より上位の目的」を阻害してしまう手段を選んでしまった、という笑えない例です。
これは、政策のタテ割りの弊害の最たる例だと言えるでしょう。
この修復には少し時間がかかるかもと思っていましたが、予想以上に早期におかしな状況が是正されて本当によかった。
なお、これに関する政府内の議論は↓で公開されています。
(4ページと11ページ)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/committee/summary_20220510.pdf
また、その議論を踏まえ、この点を是正することが、骨太の方針2022に書き込まれ、閣議決定されています。(32ページ脚注141)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2022/2022_basicpolicies_ja.pdf保険証をはじめ何でもマイナンバーカードに紐づけないと生活に関するベネフィットが得られない、得られなくさせるという建付けで導入を促進させるということです。つまりは政府肝いりのマイナンバーカード政策の補助政策です。
前回(マイナンバーカードを使えば診療報酬が高くなる)は、医療機関の負担で導入しなければならない「マイナンバー保険証システム」導入促進のために医療機関の報酬を大きくし、その支払者は保険支払いおよび患者負担というシステムでした。医療機関の増加分が小さいためにインセンティブにならず、一方で「なぜ政府の都合で導入するシステムの負担を患者が行わないのか」というごく当たり前の疑問点が出てきて、「理念」「あるべき姿」不在が不評を買い、とん挫した格好です。
今回は、「患者が」マイナンバー保険証を「使わなかった場合」、診療報酬を「値上げ」するという設計に変えていますが、なぜ使わないと値上げするのかは、やはり理解が得られないでしょう。
政府が簡単に診療報酬を改定できる理由は、閣議など通していないからで、あくまで「省庁権限」による価格表の改定の位置づけであり、この手法によって毎年の医薬品の価格引き下げも簡単にできるようになっています。政府は極めて使いやすい方法と認識しています。
そもそも独立した保険証の廃止、マイナンバーカードの導入をすればよいのですが、法改正または政治的軋轢を生むために先送りされているのだと思います。
マイナンバーは「社会保障番号」と同じ意味をもつ個人番号です。これに一本化することにの最大のメリットは、収入と支出を一元的に管理できることで、つまりは、徴税のためのコストを大きく低減できる可能性がある仕組みです。今後はマイナンバーにいろいろなものが紐づけられていくと思いますが、「キャンペーン」などでコストをかけてそれを実施する一方で、100%切り替えられない結果、既存システムも廃止できない「コストの二重化」の状態がいつまでたっても続くでしょう。ここがすっきりしません。
徴税のコストが低減されることは、最終的には国民にメリットがあることであり、(減税を前提に)積極的に進めてほしいと思いますが、現在はマイナンバーカードの取得は「任意」などと、ここでも中途半端に「個人の自由」が保障されていることが気になります。本来は、この点の修正を先に行うべきでしょう。紐づけすると負担増えるとかもうほんまに広めたいのか広めたくないのか意味不明と思っていたのですが、改善された!と思いきや、
紐づけすると負担軽くなる、というか、従来の保険証にそれ以上の加算をすることで実質的に『紐づけした方が割安』という状況にするのですね、、なるほど、、、その加算分をぜひ有効活用して頂きたいです。