【3分解説】KDDI通信障害、返金が200円の理由
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約款に基づいたロジカルな根拠で、妥当な金額だと思いました。
一方、返金しても「たった200円かよ」と金額に対する不満を持つ方々も少なくないと考えます。
返金の事務処理稼働も少なからずかかることですし、いっそのこと返金せずに再発防止のための設備投資とかに使った方が良いのではとも思いました。
ただ、全く返金しなかったことによる二次、三次バッシングの懸念を考えると、こういった姿勢を見せることが必要とKDDI幹部は判断したのでしょうね。返金も作業工数かかるのであれば、200円など障害での対応での返金はせずに、新しく喜んでもらえる機能開発や施策など特典のような施策の方が良かったように思います。
総額でいうと莫大なのは想像できるのですが、受け手からすると一人200円という少額に見え方としてもったいないですね。不思議と体感は200円じゃないよと思っている利用者も多いはず。
せっかく社長の記者会見がすばらしいものであったがゆえに、世間の空気をよむ広報/PRをもう少し考えた打ち手であったら良かったように思います。約款に書いてあるからといって、それが必ずしも妥当な根拠になるとは限りませんよ。
ここでいう約款とは、おそらく「電話サービス等契約約款」(※)のことでしょう。この約款の第98条に、算出の根拠となる規定が書かれています。
具体的には、第98条第1項に「電話サービス等が全く利用できない状態(中略)にあることを当社が知った時刻から起算して、24 時間以上その状態が連続したときに限り、当該電話等契約者の損害を賠償します。」と規定されています。
この第98条の見出しに何が書かれているのか、ぜひご自身の目で確かめてください。そこには「(責任の制限)」と書かれているのです。それを裏付けるように、第98条第2項の文末には、「その額に限って賠償します。」と、書かれています。
つまり、約款には、あくまでKDDI側の損害賠償責任を制限する条項があるのであって、実際に発生した損害をそのまま賠償する責任が規定されているのではないのです。これが正しい算定基準と言えるでしょうか?
そして、これはおそらく、事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効を規定した、消費者契約法第8条に違反する条項であり、無効となると思われます。
よって、少なくとも理屈の上では、より多くの損害賠償責任が発生しているはずです。この点から、本件がこのまま収束するとは、到底思えません。
ただ、消費者契約法を所管するのは消費者庁であり、電気通信事業者であるKDDIを監督する総務省とは、全く別の官庁です。この点から、本件に消費者庁が積極的に関与するとも思えません。
※ https://www.kddi.com/extlib/files/corporate/kddi/kokai/keiyaku_yakkan/pdf/public1.pdf