【超図解】脱炭素時代の大本命。「パワー半導体」って知ってる?
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希望が見えるいい記事ですねぇ!
京都大学の松波教授を中心に研究が進められてきて、ニーズが高まっているSiC製の「パワー半導体」で、自動車産業を中心に日本がグローバルに大きくシェアを取れる可能性があるとのこと。
新産業の創出はスタートアップのお家芸、と近年スタートアップに注目が集まっていますが、当然ながら既に優秀な人材、技術者が元から多い伝統的な大企業がグローバルで大きく勝つことは本来求められています。
ここに名前が上がっている大手メーカーさんにはぜひスピーディーに戦いを制していっていただきたいものです!
パワー半導体のニュース、今後も楽しみです。EV、再生可能エネルギーの発電所、データセンター…
こうした今ホットな領域で、欠かせない部品があります。
「パワー半導体」です。
聞きなれないという方も多いかもしれません。私自身も、何度か半導体を取材しておきながら、あまりよく分かっていませんでした。
でも実は、電気で動かすあらゆるものに入っていて、この性能いかんで効率が全然変わってくる。EVが走れる距離を伸ばしたり、発電した電気を無駄なく使えるようにしたりと、これからの時代に欠かせない部品だと知って、がぜん興味が湧いてきました。
イーロン・マスク氏や永守重信氏など、名経営者は早くから目をつけていたこの部品。しかも、日本企業に勝ち目がある数少ない領域です。今知っておいて損はない、パワー半導体の特集をお届けします。パワー半導体は、原理や素子構造、技術、用途の量も事業サイクル、ビジネスモデル全て、ロジックやメモリ等のデジタル半導体とは大きく異なる。この結果、業界構造が韓国台湾中国でなく、日米欧が中心だ。
ファブレス/ファンドリ化もそれほど進んでおらず、垂直統合が中心であり、半導体だけでなく上流のウエハー基板からモジュールやシステムまで一気通貫モデルもある。モジュールになると、周辺の電子部品も含めた実装、耐熱性、機械強度、制御技術といった総合技術が必要になる。アプリケーションが、そもそも、デジタル半導体の主要な応用分野であるPCやスマホと異なり、重電やエレベータ等の社会インフラ、クルマ、白物家電と、事業サイクルが長い上、長期に亘ってメンテナンスが必要である。技術も材料開発も重要で応用毎にカスタムが強い。それゆえ、ビジネスモデルや業界構造が変わるには10年程度の期間はかかるだろう。他方で、中国のキャッチアップは早いかもしれない。EVや5Gのインフラは早く、カーボンニュートラル対応もトップダウンで進む。微細化レベルは低く、米中摩擦の中で装置も積極的に輸入、EVや重電産業は垂直統合を目指すかもしれない。
パワー半導体の技術と市場動向は、縦軸にVA、横軸に周波数をとってマッピングできる。左下から上並びに斜め上への展開がIGBTであり、重電向けに三菱電機や富士電機など日本が強い領域だ。これは、EV等向けにSiCへと移行する。2022~2023年に本格離陸するSiCは、開発強化と低コスト化である。トリレンマである、低オン抵抗、高速スイッチング、破壊耐性を同時に達成、ウエハーの8φ化など、ウエハー材料レベル、パッケージレベル、モジュール、それぞれのレベルで努力が必要だ。左下から右がMOSFETだが日系は15%、自動車の他、インバータ化でエアコン等の白物家電向けが多い。更に将来はGaNへと移行する。
三菱電機、富士電機、東芝は、デバイスからモジュール、システムまで転換できる。SiCrystal社を傘下に持つロームは、材料内製化の強みを生かしモジュールまで、デンソーは材料からシステムまで手掛ける。サンケンや新電元や電子部品メーカー、今後、ウエハー基板のクリ―、住友電工、昭和電工の展開やトヨタ等の自動車大手、NIDECなどモータメーカーの動きが活発化するだろう。