中国、月の「占拠」巡る米NASA長官の発言に反発
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中国の月面探査は「绕(回る:周回する)、落(着陸する)、回(帰還する)」の「三歩走(三歩で行く)」という三段階で構成され、2004年から開始されました。2020年12月17日に「嫦娥5号」が1731グラムの月面の岩石や砂等を採取して地球に帰還して完成しました。
2022年1月に発表された『中国的航天(中国の宇宙)2021』白書は、今後5年間の重点事項の一つに月面に「科学研究基地」の建設を挙げています。
衛星の打ち上げや大陸間弾道ミサイル製造の主役の一つである中国航天科技集団という国営企業は、2011年の段階で、月面には核融合に用いることができるHe3が大量にあって発電に利用できると述べています。米国のアポロ計やソ連のルナ計画で持ち帰ったサンプルを分析した結果、広く知られるようになったものですが、中国は「嫦娥5号」が持ち帰ったサンプルを独自に分析し、月面のエネルギー資源開発に役立てようとしています。
先の中国航天科技集団は、2015年、米国政府が民間企業に月の資源開発を奨励しているという記事をホームページに掲載しています。米国が先に月の資源を独占しようとしていると言わんばかりです。中国は「米国が先に仕掛けたのだから中国は仕方なく月における資源独占競争を行う」というつもりなのでしょうか。中国は「多国間での開発」を主張すると思いますが、中国主導の開発でなければ許容しないでしょう。
中国はまた、月面には3Dプリンタの材料に適した土があるとし、3Dプリンタを月に持ち込めば簡単に月面基地を建設できるとも言います。すでに月面基地の建設は夢物語ではなく、月の資源開発競争が激化しそうです。
米国はすでに有人月面探査「アルテミス」計画を発動しています。以前、中国の有識者が、地球上の資源はほとんどが米国に支配されているので、月では中国が先手をとらなければならないと言っていたことがあります。米中「競争」は宇宙にまで広がっています。