ロシア、対中国LNG輸出6倍に 経済制裁でエネルギー受け皿
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「LNGが6倍」というのがポイントで、これはタンカーによる輸出と考えられます。
LNGというのは、天然ガスを液化して凍結したもので、主にタンカーで輸送します。
気体のままなら、パイプラインでの輸送になります。こちらの方が、LNGよりもずっと低コストで輸送できます。
中国へのガス輸出が、「LNGが6倍」になっても、パイプラインでの輸送量はキャパシティの問題からいって、ほとんど変わっていないでしょう。ロシアから中国へのガス輸出が6倍になったわけではありません。
昨年までは、ロシアのガスの輸出先は、70%がヨーロッパ、中国は5%程度でした。
ヨーロッパへのガス輸出は、9割がパイプラインでした。ロシアのガス輸出全体では、8割強がパイプラインといったところでした。
仮に、ヨーロッパと旧ソ連諸国以外へのガス輸出を増やしたい場合、行き先が中国であれインドであれ、LNGとしての輸出になります。実際、LNGとしての輸出が増えています。
LNG輸出をさらに増やすためには、ガスを液体化して凍結する設備のキャパシティ、輸送するタンカーが増える必要があります。タンカーは、ギリシアなど諸外国の船会社が引きうけてくれるかどうかが問題であり、これは海運保険の額の問題でもあります。
ロシアがLNG輸出を増やすのは、不可能ではないでしょうが、多くの課題があります。ヨーロッパ諸国が、パイプラインでガスを輸入し続けてくれた方が容易ではあります。
https://www.eia.gov/international/analysis/country/RUSこれは想定内。6倍といっても元の数字が小さいことは重要。ロシアと中国はパイプラインが1本でしかつながっていないので、LNGで輸出せざるをえないが、コストは高く、欧州への輸出が減った分を埋め合わせる量には届かないだろう。
ロシア産の原油にしても液化天然ガス(LNG)にしても、先進国の一部は制裁措置をとっておりますが、国連制裁が科されているわけではありませんので、中国にしてもインドにしても、別に制裁違反=違法なことをしているわけではありません。
特にインドなどはロシア産原油の購入を急増させていますが、価格が安い商品を購入して何が悪いのか、と開き直っています。インドがロシア産原油を安く買って、それを別の国に転売して儲けたとしても、これまた違法ではありません。米国は厳しい対露制裁をかけていますが、それでもロシアと取引した外国企業に制裁をかけるようないわゆる「二次制裁」までは踏み込んでいません。
対イラン制裁のように米国が二次制裁までかけない限り、ロシア産の原油やガスを買う国は無くならないでしょう。