世銀、22年の世界成長率予測を下方修正 スタグフレーション警告
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新型コロナウイルスが襲った2020年から今年2022年まで世界銀行が見る3年間の実質成長率の足取りです。
米国 ▲3.4% → +5.7% → +2.5%
ユーロ圏 ▲6.4% → +5.4% → +2.5%
日本 ▲4.6% → +1.7% → +1.7%
感染者数も死者数も欧米と比べ隔絶的に少なく済んだ我が国が、安心安全を強調する余り欧米並みに経済を落ち込ませ、その後の回復も圧倒的に遅いことは明らかです。日本の潜在的な成長力は0.5%程度で1.8%程度とされる米国や1.2%程度のユーロ圏よりもともと低くはあるものの、GDP対比で米欧を上回る景気対策を打った日本がこれほどまでに立ち遅れるのは異常です。
スタグフレーションに陥ることの問題点は、インフレを止めようと金融を引き締めたり財政支出を絞ったりすれば景気が悪化し、景気悪化を避けるべく金融を緩め財政支出を増やせばインフレが昂進するジレンマに中央銀行と政府が陥って対策が難しいところにあるわけですが、日本では日銀が量的緩和を続け政府も大盤振る舞いを続けていますから、今のところジレンマの影響はありません。スタグフレーション以前に我が国が心配すべきは、政府もメディアも国民も“経済より命”を旗印に社会経済活動を止め、日本の停滞を加速していることにありそうです。政府が如何に借金してカネをばら撒いても、政府と国民が分けて使える所得であるGDPがこうした形で減少すれば、日本全体が中長期的にその分だけ貧しくなることは避けられません。
世界銀行の予測に一喜一憂しても始まりません。日本が欧米並みのインフレに陥らぬよう念じつつ、一刻も早く国境を開き過度な恐怖心を取り除き社会経済活動をフル稼働させるムードを作ること、そして金融緩和と財政支出のカンフル効果に溺れず潜在成長率そのものを高める努力をすることが、こうした数字の警鐘への対応であるように思います。