インバウンド再開 恩恵はどこまで広がる?
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コロナ禍前のインバウンド旅行者は3118万人で日本国内消費額は4.8兆円。このうち最大の消費額は約1.7兆円の買い物消費でした。(出展:観光庁「訪日外国人旅行者消費動向調査」より。)消費の大きい産業セクターでいえば買い物消費が1.7兆円で1位、次に宿泊消費が1.4兆円で2位、飲食消費が約1兆円で3位、交通費が約5000億円で4位、そのほかサービス費用として約2000億円です。(この、「そのほかサービス費用」というのは例えば美術館の入場料だとかガイドさんの費用とか、アクティビティ体験費用などが含まれます)
このニュースのように買い物銘柄(マツキヨココカラ&カンパニーや、ラオックス)の株価が上がるのは、電鉄などの他の大手企業よりもインバウンド消費の占める割合が大きかったというシェアの問題もありますが、何より訪日客消費の中で買い物消費は交通費の3倍以上を占めるという事実もあるからです。
それに加えて、この円安。
かつて「東方見聞録」の中でマルコ・ポーロは日本のことを「黄金の国、ジパング」と形容しましたが、まさにインバウンド開国後の日本は外国人の目には「良いものがめちゃくちゃ安い、黄金の国」として映るのではないでしょうか。コロナ禍前の2019年のインバウンド消費の推計値は4兆8千億円で、おそらくその3割強はゼロコロナで国から出られない中国人。来日者数に占める割合は4分の1程度でしたから、中国人は平均よりカネ離れの良いお客様。
一日2万人が全てインバウンドの観光客だとしても年間7百万人で、2019年の3千万人に遠く及びません。日本人の出国・帰国もインバウンドと同数程度あったことを考えるとインバウンド顧客の数は更に限られますし、ツアー客に限るとなれば買い物以外の費用で日本に落ちるのは支出額のせいぜい7割程度。足元での受け入れの恩恵は限られて、拡大は徐々に起きて行くのでしょう。
それはそれとして、ドル円相場は2019円の110円前後から130円前後に15%ほど切り下がっています。2019年ですら日本は安いと言われたものが一段と安さを増して、外国からのお客様には日本人が提供するモノもサービスも本当に安く見えるはず。そうした人々がマスクを外して日本を安く買い漁って高級ホテルに泊まって物価が上がり、日本人が指をくわえて眺める事態になったとき、外国人観光客で懐が潤うわけでない多くの日本人が急増する外国人観光客に不満を抱くことにならないか。
ゆっくり緩和して一気にそういう事態にならないように、政府は敢えて特異な水際政策を続けているのかも知れないな・・・ そんな気もするほどの拡大ペースの遅さです (^^;