なぜ“コンサル本”を読んでも「問題解決力」は身につかないのか
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◆言語化が難しい理由
記事へのフックとなる問いかけである「なぜ“コンサル本”を読んでも「問題解決力」は身につかないのか」というのは多くの読者に刺さるのではないか。その理由として著者は"問題解決技法は既に体系化できていると多くの方が認識されていると思いますが、本当に大切な部分が言語化されていないのが実態"と語っている。
なるほど、大切な部分が言語化できていないのか。それが何かが読者が一番知りたいことだが、残念ながらこの記事からはその核心部分を読み取ることができない。まさに言語化が難しいのだろう。もう一歩深めて考えれば何故言語化が難しいかに尽きるのではないか。
記事で出てくる言葉はすごく抽象度が高い。「同質化」「囚われ検索」「核心化」「メタ知識」「要素転換」「初期仮説化」この言葉をきいて「なるほど、そういうことね」と理解するのは相当困難だろう。しかしこれがしっくり来るくらい自分の中で言葉の意味が何をさすか理解しないと様々な課題に取り組むのは難しい。課題が実にいろいろな形をしているのでどんな形にでもあうように抽象度を高めた結果がこの言葉なのだろう。
一つひとつをわかりやすく具体化すると抽象度が低くなる。特定の課題には当てはまるが、別の形をした課題には当てはまらない。抽象度が高い概念として理解して、そのプロセスを多種多様な課題に当てはめて解く。抽象と具体をいったり来たりしないとプロセス自体を理解できないのが課題解決が身につかない理由だろう。
言語化が難しい理由はあらゆる課題に対応できるようにプロセスの抽象度を高める必要があり、実際は言語化できていてもその理解が難しいからだ。そしてなかなか身につかないのはその言語化した抽象度の高い概念を様々な様式の課題に当てはめる訓練が必要(時間がかかる)からだ。解決するには自分たちが理解しやすいわかりやすい事例で複数回このプロセスを追体験するのが良さそうだ。その具体化は本を読んでもできないのでなかなか理解できないし、いつまでたっても出来るようにならないのだと思う。ビジネスにおける思考力や問題解決法について、幾多の書籍が販売されています。今回の登場者は、その中でも「問題解決力について、本当に大切な部分が言語化されていない」と強調しています。
真の問題解決力とは何か。今回を皮切りに数回にわたって紹介していきますが、まずは問題解決における「論点設定」「仮説立案」「検証」の概略を説明しています。ぜひヒントにしていただければと思います。”問題解決の技法は、大きく「論点設定」「仮説立案」「検証」の3つで語られる」それぞれの言語化・形式知化には濃淡がある” という主張は、まさにその通りだと思います。
良い問題解決法と良い論文の条件(両者は本質的には同じことなので)を対比させて論じてみましょう。
論文は、「問いを立て」、「主張をし」、「論証する」ことで出来上がります。(これが問題解決の3段階に対応します。)
この中で、論文の質の死命を制するのは問いの質です。良い問いを立てない限り、いかに主張や論証が優れていても、良い論文だとは評価されません。博士論文を書けずに長い年月を浪費する人は、質の良い問いを立てられないことが原因である場合が殆どだと思います。
世の中に優れた論文が少ないのは、この問いの立て方が難しいからでしょう。(そうでなければ、世の中に博士が山ほどいるはずです。)
対比の元に戻れば、これは「論点設定」が非常に難しくその方法の言語化がほとんど進んでいないことを意味すると思います。それゆえ、優れた論点設定ができる高給を食むことができると言う訳ですね。