ウクライナの穀物輸出、一段と難しく-戦争が世界の取引に変化迫る
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世界のトウモロコシの生産量は12億トンくらいなので、ウクライナから出荷できないでいる1500万トンのトウモロコシは、その1.2%くらいです。
しかし、2021年秋に収穫された分はそれでもまだましで、本当に恐ろしいのは、2022年にどれだけ生産できるのか、輸出できるのか、です。
黒海にいるロシア海軍を排除できる可能性は非常に薄いでしょう。できるとしたら、ウクライナ軍がクリミア半島のロシア海軍基地を占領した時です。
トウモロコシの輸出減少は、飼料価格の高騰につながり、食肉価格に反映されます。
小麦はさらに影響が大きく、特に大きいのは、ロシアとウクライナの小麦に食料供給を依存している中東とアフリカの諸国です。この地域の国々は、食料と燃料価格の暴騰で(トルコですら年間インフレ率が60%を超えました)、暴動くらいは起きるでしょうが、おそらくそれでとどまらず、内戦などになる国もあるでしょう。
米国、カナダ、オーストラリアから輸入している日本は、だいぶんましです。非常に苦しくなるのは、南アジアから中東、アフリカにかけてです。特に小麦についてはロシアも含めて世界の小麦輸出の1・4以上をこの2か国で占めていましたから、小麦価格への影響は甚大でしょう。
ただ日本では、政府が製粉会社に売りつける価格は4月と10月にしか改定していませんから、本格的に影響が出るのは次の10月改定でしょう。
そこから最終製品に転嫁されますから、小売りベースでの影響は年末から来年以降となることが予想されます。黒海経由で運ばれる小麦を買っているアフリカ諸国の食糧難が懸念されている。ちなみに、戦中戦後の日本の食糧難にしても、農業生産そのものが大きく落ち込んだわけではない。流通の問題が大きかった。ただ、なぜかイワシが日本近海でさっぱり獲れなかったらしいが…。