「プーチンは犠牲者だ」世界には親ロシア目線でウクライナ侵攻を報じる国がこれほどある
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【国際】「親ロシア目線」で見る必要はないけれども、「親ウクライナ目線」で見る必要もない。「反ロシア=親ウクライナ」という二元論的な思考様式になってしまうことは物事の本質を見誤ることにつながる。
平沼騏一郎は1939年に独ソ不可侵条約が締結された際に「欧洲ノ天地ハ複雑怪奇」という声明を出して内閣総辞職を行った。国際政治というものは元々二元論的なものではなく、それぞれの国がそれぞれの国益に基づいて外交活動を行なっているわけで、旗幟を鮮明にすることだけが国益につながるわけではない。ロシアのテレビでは、プーチンこそ救世主であり解放者だとされており、多くの国民がそう信じている。
https://www.slate.fr/story/224652/television-russe-poutine-guerre-ukraine-invasion-media#xtor=RSS-2
ただし、日本のテレビのレベルも同じだ。
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/news/3938918/
https://www.asahi.com/articles/ASQ3C5JTVQ3CPTFC002.html引用されている記事には幾つかの視点が混在しているので整理しないと全てごっちゃに「プーチンは犠牲者」になってしまいます。
・今回の紛争の原因をNATOの東欧への拡大に求めるもの
・コソボなど国際紛争における西側諸国のダブルスタンダードを批判するもの
・世界各地で紛争が起こっている中でウクライナのそれをとりわけ凄惨なものとして報道する事に対する疑問
「プーチンは犠牲者」は最初のNATO拡大云々ですが、そもそも冷戦以降ロシアは一度も侵略を受けていないのに犠牲者とはこれ如何に。NATO拡大は個々の東欧諸国の選択の結果でもあって、背景には旧ソ連の時代体験があります。今回の事態に至ってそうした国々のロシアに対する地政学的認識は誠にリアリスティックだったとも言える。
様々な記事が引用されていますが、個人的には国連総会でロシア非難決議投票を棄権した南アフリカのDaily Maverickの記事が大変興味深いです。
https://www.dailymaverick.co.za/article/2022-03-08-untangling-the-narrative-web-surrounding-south-africas-stance-on-the-russia-ukraine-conflict/
今回の南アフリカの棄権は同国内でも疑問のあるものだったようで、記事では南アがロシアを支持しうる理由を経済・イデオロギー・「非ナチ化」という主張など複数の側面から分析しています。
微妙な背景事情(反アパルトヘイト闘争を戦った世代にはそれを支援した旧ソ連に対するシンパシーがあるそうです)も取り上げつつ、記事ではジェイコブ・ズマ前大統領の「プーチンは平和の人」という主張も含めて全ての側面で概ね却下しています。
他方で国際紛争における西欧のダブルスタンダードや、ロシアと同様にウクライナにも人種差別に対して恥ずべき事例があったことも言及するなどなかなかにフェアな分析だと感じました。