SMBC日興、法人としても立件へ 管理体制ずさん、相場操縦事件
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この手の不正はやろうと思えばできてしまうため、個人の出来心というケースと意識的に踏み込んでやる場合とありますが、明らかに後者。どちらのケースも「なぜやろうと思ったのか」その背景が重要です。
ちなみに個人の出来心のケースは個人的な欲ですが、背景にあるのは、お金に困っているケースが多い。
私は証券マンとして新卒入社して2年目くらいに支店長からお金を使いすぎないように、とクレジットカードを取り上げられました。今思えば完全なるパワハラですが、背景にあるのは「クレジットカードの使いすぎでついやってしまった」という動機が多いという事です。
さて、今回の組織的犯行の背景にあるのはなんでしょうか。よくあるのは会社としての数字プレッシャーです。当然そうなるでしょう。
そして法人として立件ということになれば、
第一種金融商品取引業(証券業)のライセンスに関する議論が始まってしまう可能性があります。ここから先は、市場への影響をいかに最小限に抑えていくか、がテーマに加わります。
その意味で、3月4日に設置された外部弁護士からなる調査委員会の報告に注目してまいりたい。
https://www.smbcnikko.co.jp/news/release/2022/pdf/220305_01.pdfこの分野、うまくいけば巨額の報酬が。もし有罪でも、執行猶予がつくようじゃ抑止力にもならないでしょう。本当にプロップとエージェンシーが共謀したのであれば、まるで2000年代初頭に戻ったかのような話です。
いくつか玄人向けのコメントを。(推測を交えていますのであしからず)
・SMBC日興のブロック銘柄では、翌日の相場下落を見越した空売りが常態化していたとのこと。投資家にとり即日締め切りの買い手募集は非常にありがたく、たとえば打診を受けた投資家が札を入れつつ空売りし、利益のロックインが可能。貸株デスクも一体となり、この手のディールは得意先へのフリーランチの側面を持っています
・買い支えだからと言って、プロップが自らのPLを犠牲にするはずはありません。彼らは大株主から大幅に割安な価格で取得する株数の一部を取得原価で譲り受けることになっていたのでは。自己ポジは逆ザヤで転売することになりますが、大株主からの取得分でそれ以上の利益をあげられれば利益が出ます。プロップの立場としてはあくまでリスクを取って買いポジを張った、ということかもしれません
・プロップの買いには、アップティックルール回避の観点で、前記の空売りを実行可能にしてあげる側面も。このようにして二重に儲ける取り組みは、適法ならば、極めてコマーシャルな働きとして評価されます。
今回逮捕されたのはGSやUBSからの転職組。SMBC日興は高額報酬での人材獲得を続けていましたが、日系証券のコンプラシステムは緩いという見方があります。「作為的相場形成」は立証が難しく、今回も報道で出ているのは1%程度の価格変動の模様。逮捕されたというだけで有罪が確定したわけではありませんが、巨額報酬と法令遵守のバランスは繰り返されてきたテーマです。
ところで安定操作取引について誤解している向きがあるようなので一言。安定操作は原則禁止されており、募集・売り出しの円滑化のために行われる場合に限り許容される行為です。重要なのは価格決定後の「申込期間」において、期間・価格・届出などの制限のうえで行われる点。当然ながら価格決定日までの期間は関係者による自己買付は全面禁止で、今回の、値決めに使われる終値そのものに対する関与が「安定操作」と混同されていたなどということがあろうとは思えません。しかも単なるブロック。