ロシアが米国向けロケットエンジン販売禁止、「自分たちのほうき」で宇宙へ飛ぶことを提案
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具体的には、ULA(元々はロッキード)のアトラスVロケットの第一段に使われているRD-180エンジンのことです。アトラスVは抜群の成功率を誇るアメリカの主力ロケットで、これまで国防省やNASAのミッションで多く用いられてきました。僕がやってる火星ローバーもアトラスに火星行き軌道へ運んでもらいました。
ロシアのエンジンに頼るリスクは前々から指摘されていて、ULAの新ロケット・バルカンではブルー・オリジン製のエンジンを使う予定です。バルカンの初飛行の予定は今年。アトラスVは確か向こう2年くらいで引退する予定のはず。予定されているフライトの分のエンジンは輸入済みとのことなので、影響は軽微でしょう。
それよりも、「ほうきで飛べや」というロスコスモス長官の罵言へのイーロン・マスクの返しが痛快です:
https://twitter.com/elonmusk/status/1499423704983355393
そう、アメリカはアトラスVに頼らなくとも、ほうきはたくさんあります
ファルコン9
ファルコン・ヘビー
デルタ・ヘビー
アンタレス
エレクトロン(NZのだけど、アメリカでも作る)
アストラ
ランチャーワン
と大小よりどりみどり。
でもうすぐ
バルカン
スターシップ
SLS
も飛びます!以上の全てはロシア製エンジンを使ってません。
さらに西側には
アリアン5🇪🇺
アリアン6 (coming soon!)🇪🇺
H2A🇯🇵
H3 (coming soon!)🇯🇵
イプシロン🇯🇵
ベガ🇪🇺
シャヴィト🇮🇱
ヌリ🇰🇷
もあります。
と言うわけで宇宙開発自体への中長期的影響は軽微。短期的にはソユーズやプロトンで打ち上げる契約をしてしまっている会社が痛いですね。具体的には、OneWebと、日本だとアクセルスペース、それとESAの火星ローバーでしょうか。むしろ痛いのはロシアです。貴重な外貨獲得源を失うのですから。スペースX以前はロシアのロケットは商業打ち上げ市場で非常に大きなパイを占めていたのですが、それももう終わりでしょう。こんなリスクを露呈しては戦争が終わっても西側顧客は取れません。
とはいえ、名機アトラスVがこういう形で終わるのは、ちょっと切ないですね。米ロの宇宙での協力が終わってしまうことも。宇宙に国境線はないはずなのですが。ただ実際のところアトラスV後継のロケットのエンジンはブルーオリジンのまだできていないBE-4使う予定だし、政府系大型ロケットは2-3年後までスケジュール決まってるし、結構じわじわと効いてくる問題ではある。そして、スペースXがクルードラゴン成功してなかったらISSの欧米系宇宙飛行士は人質になっていたかもしれない。まさに綱渡り。啖呵切ってる場合ではないかもしれん。
アメリカがロシアのロケットエンジンに頼っていることは以前から問題にされていたが、国内で新規にエンジン開発するよりも安いという理由で放置していたツケとしてロゴジンに馬鹿にされる結果に。でもロシアに頼らなくてもイロン・マスクがいる。