米欧が一部ロシア銀を国際決済網から排除、中銀にも制裁で圧力
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注目のコメント
とりあえず、ベーアボック外相の発言にあるように、SWIFT排除は限定的範囲に絞られそうです。また中国の銀行を通じた資金決済ルートは残るはずです。
ポイントはルーブル暴落にあると考えます。24日の相場は1ドル85ルーブル台で引けましたが、翌日は81ルーブルまで切り返し、当局が介入している様が見て取れました。とはいえ、SWIFT排除は、間違いなくルーブル暴落の圧力になります。外貨も底をつけば、介入はできなくなります。
いくらロシア当局がドル資産保有を減らしていても、国民は資産防衛の観点からドル紙幣やユーロ紙幣を持つ世界です。ドル取引やユーロ取引の制限は、家計の金融行動を大きな影響をもたらします。勿論、インフレも加速します。ウクライナ侵攻に反対する国内世論が盛り上がることも期待できる。
つまり、このルートを通じてロシア政府に行動変容を促すのだと考えます。ただし、実際の効果は残念ながら分かりません。強いバックファイヤが出る可能性も否定できないためです。遮断すれば①西側陣営における資源調達が困難になる(ロシアは海外での売り上げが還流しないので販売する理由がなくなる)、②追い詰めれば独自の決済網を作る契機になる、③本当に最後の手段(核含む)で報復されるリスクもゼロではない、などが従前指摘されていました。②は独自というよりも既に外準の1割以上が人民元になっているのでCIPSの活用が容易に検討されそうです。
p.s
一部、「大半が実は海外にある」という有識者の方のコメントが見られますが、「実は」も何も外貨準備というのはそういうものであり、相手国中銀ないし財務省が保有しています。普通の話です。今回のポイントはSWIFTではありません。米欧英がロシア主要銀行をSWIFT国際決済メッセージングシステムから排除するとともに、ロシア中央銀行をターゲットに制裁。ロシア中銀から制裁対象銀行等に準備金を投入させない。さらに制裁対象ロシア企業・個人の資産凍結を進めるタスクフォースも立ち上げ。
これらの制裁パッケージを、G7の米欧英(日本以外)が協調して発表したことに意味があります。
ロシア政府は外貨と金で6300億ドル(約74兆円)の膨大な外貨準備を積み立ててきており、これでルーブルは安定できると言われてきた。しかしその大半が実は海外にあるという。SWIFTとロシア中銀を対象にした制裁パッケージにより、今後、この外貨準備に頼れなくなってくる。
アメリカが中央銀行を制裁対象にしてきたのはイラン、北朝鮮、シリアなど。これにロシアが加わる。ロシア中銀がユーロ、ドル、ポンド等で保有していた外貨をルーブルに換えて国内で生き延びる、ということが難しくなる。
手前味噌ながら今回の対ウクライナ制裁の動向について日々追いかけています。
https://twitter.com/Yoshi_Sagara/status/1497724251972857856