【中国発】コロナ対策ツールが国民監視に「転用」される日
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健康、衛生が、管理、統制と密接に結びついているというのは、何も陰謀論だけではなく、歴史的な事実です。
少数民族が衛生を理由に強制移住させられたり、収容された例も、数多くあります。
もっとも、中国の場合、2010年代から、新疆ウイグル自治区を、顔認証、AI、ビッグデータを活用した新しい管理社会の実験場としてきました。
新型コロナウィルスの発生により、それまでの実験成果は全国規模で活用されるようになりました。ただし、ウイグル人にしているのと同じことを全国でやるわけにはいかないので、実現されるのはきれいな管理社会です。ゴミが落ちていないようになり、公衆トイレが汚れることもなくなります。マスクをしていない人間もすぐに取り押さえることができます。
杭州市を本拠地とするアリババや、京東といったEコマース企業のデータも全て政府に提供され、問題解決に活用されています。
なお、この中国式新しい管理社会は、民間人を大量に「網格員」「城管執行隊員」などとして監視に回らせる(報告はアプリを使う)、といったアナログな面もあり、もともと国民を社区、居民委員会といった組織で管理している中国だからできることです。真似できるのは、シンガポール、韓国、北朝鮮、台湾、日本くらいでしょう。だいたいの国では、こんなに素直に大量動員される人間はいません。
デジタル時代に先手を打つ統治の手法
中国が展開する「グリッド・マネジメント」とは何か?
https://wisdom.nec.com/ja/series/tanaka/2021012701/index.html拙著「中国コロナ封じのの虚実」でも詳述しましたが、中国の監視はデジタルにとどまらず、膨大な人員を使った人海戦術の組み合わせ。特に社区(団地)よりもさらに精度を高めた監視を行うためのグリッド(網格)は今後、注視すべきテーマです
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成人国民の4人に1人が「監視員」
国営メディアによれば、中国は新型コロナの感染拡大に対処するために、450万人のいわゆる「グリッド・ワーカー(網格員)」を動員してきた。これは成人の約250人に1人に相当する。グリッド・マネジメント(網格化管理)制度の下、都市や村、町は小さな単位に分けられ(数ブロック単位のこともある)、それぞれの網格員に担当地区が割り当てられる。様々なデータ取得の費用が安価になり、例えば街中のあらゆるところにカメラが設置され日々録画されていたり、ほぼ全ての人が持つ携帯電話によって位置情報や動きが捕捉されるなど、取得できるデータの種類や量は、日増しに増えています。
これらのデータは誰に所有権があって、誰が利用目的を決定できるのかが、きわめて重要な問題になってきています。
データにアクセスできる国やプラットフォーマーなどの一部の人たちによる任意の決定ではなく、民主的で、生活者の権限を軸にした判断が必要だと認識をしています。