ECB現状維持、年内利上げ排除せず インフレリスク増大認める
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過去数か月のラガルド総裁の情報発信には難があったことは否めないと思います。今回の会合のハイライトは2つあります。1つはラガルド総裁が2022年中の利上げを否定できなかったこと、もう1つは3月会合での政策調整を示唆したことです。
後者の3月の件は近くになったら諸説考えるとしても、前者は直近会合まで「非常に可能性が低い(very unlikely)」と一蹴していた経緯があります。その変心をもたらしたのが1月HICPだったかと言われれば、確かに総合で過去最高でしたがコアでピークアウトしています。一時的、の基本スタンスは維持しても良かったように見えます。
以前から指摘はありましたが、ラガルド総裁は発言がやや軽いところがあるように感じます。ご時世的に量の拡大を4月から行うという従来路線は無理だろうと思っていましたので3月政策調整は分からなくはないですが、量が終わった金利をすぐ上げますという今のガイダンスは本音では修正したいのではないかと推測します。既に配信したレポートでも触れましたが、資産買い入れペースの次回会合での見直しを明確に示唆したほか、年内利上げの可能性を明確に否定しなかった点で、タカ派に歩み寄った内容でした。
その一方で、ユーロ圏では賃金上昇が必ずしも加速していない点を認めたほか、会見の最後にわざわざ米国との需要のモメンタムの違いを強調するなど、強気一辺倒ではなかった面もあります。
個人的にも、なぜこの間にラガルド総裁のスタンスが変更したのか、あるいは利上げによって物価上昇を抑制するメカニズムをどう想定しているかが必ずしも明確でなかった印象を受けました。