秋に上場へ。エアウィーヴ、スリープテックで描く成長戦略
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日頃私が色々なところでお話している事のひとつ、いま日本で一番優秀で力がある人材クラスタのひとつは、地方のオーナー系企業、特に未上場のそれの二代目、三代目オーナー社長である。
まさにこの方はその典型のようであるが、このクラスタは教育レベルが高くグローバルに視座を持ち、故にテックにも敏感である場合が実に多い。それに加えて受け継いだ事業基盤や資産があり、これが最も重要だが意思決定権を一手に有している。レガシー大企業とは違って稟議根回し不要である。
つまりグローバルで勝っている企業の経営者が当たり前に持っている素養を有している。
故にこの会社のようにテクノロジーにより新規軸を打ち出したり、グローバルトップニッチやら周辺分野を攻めて地方のミニコングロマリット化やらして城を築いている経営者が多数いる。彼らとお付き合いしていると、メディアが毎日書き立てる暗い話とは違い日本はまだまだ捨てたものではないと思わされる。エアウィーヴの売上高は2009年に1億円。そこから10年余りで200倍近くに成長したのだから、それだけ快眠に対する隠れたニーズは大きかったということでしょう。
インタビューにもありますが、お店で試しにぐっすり眠るわけにはいかないので、本当にいい寝具を選ぶのは難しい(不可能?)というのは、確かにそうですよね。眠りのデータを集め、買う時に寝具の機能が見えるようにするという試みには興味を惹かれました。
ちなみに、取材時に従業員の方の睡眠アプリを少し拝見したところ、毎日ぐっすりと眠られておりました。上場に絡むところでは、2020年2月にD2Cの代表格として鳴り物入りで上場したCasperは、上場初日が高値(13.5ドル)で2021年11月には4ドル割れと1/3になった。そしてその時の約2倍の株価(出も上場後高値からは半値未満)の約300億円で買収が決まった。売上は約700億円、マーケコストかけていて赤字なのはあるがEBITDA-100億円ほど。
特にパラマウントは介護用で障壁を築いている(あと余剰金融資産がかなり多い)。今後、買収などを含めてそれを構築していきたいというのは分かるが、現在はそうなっていない。では500億円規模で評価を今できるか、というとどうだろう…
事業特性という観点では、スプリングを使っていないからマットレスを切ることができて、物流がやりやすいというのは面白い。ただ、品質の差などは各社言い分はあるだろうが、ニトリとかでも類似製品は数年前からある。
販売という観点では、実際に日々使うものなので、測定システムがある店舗だと「じゃ、買おうかな」となりやすいとは思う。一方で、それがあるから当然そういう店舗の方が推奨しやすいから、売上が高いことは当然。寝具の計測含むコンサルテーション販売は昔からやられており、一方でそれがなくても買う層がいるというのが現実。アプリについても、他社でも使えてそれ自体に独自性があるわけではない(そして自社でしか使えなかったら裾野が広がらない)。
睡眠は大切だし、そこへの投資は個人的にもすべきだと思っているが、相対比較をしていくと、少し自社の施策・評価に楽観的すぎないかなぁという印象を持った。
もちろん、それを裏切って上場を機にどんどん成長していくと素晴らしいのだが。特に、睡眠自体は人間の生理的な欲求なので、人種・文化関係ないと思うので、チャネル・ブランドで成功すると、世界でも勝負できるタイプの財。