南極大陸西岸の棚氷、5年以内に崩壊の可能性 米英研究者ら
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南極大陸では、東側の氷河の大部分は温かい海水面よりも高いところにあるので融解スピードが安定していて、一方で西側は海に接する部分が大きいので融解がより早く進行すると言われています。スウェイツ氷河は南極大陸の西側に位置しており、急速に融解していることがこれまでも報告されてきました。
ですが、これまではスウェイツ氷河の中でも東側(陸地の方)は比較的融解が遅く抑えられてきました。それは、「棚氷」(氷河から海へ伸びている部分)が、温かい海水から氷河の東側を守る、ボトルのコルクのような役目をしてきたからだと言われています。*
ですが、この棚氷が解けてしまうと、東側の融解が急速に進む危険があります。
進行のスピードや海面上昇にどれだけ影響するかは様々な議論があるようです。低地・沿岸域に都市を有する国々がどこまでのシナリオを想定し、どれだけのお金をかけて「適応策」を講じるか。。
ちなみに、海面上昇レベルによる浸水地域をシミュレートできるFlood Mapsというサービスがあります。目に見えてわかりやすいので、ご参考まで。**
* https://cires.colorado.edu/news/threat-thwaites-retreat-antarctica%E2%80%99s-riskiest-glacier
** http://flood.firetree.net/カリフォルニア州や日本に匹敵するサイズの氷河が崩壊…このような話を聞くと温暖化の深刻さを感じます。
温暖化については以下の3通りの見解があると感じています。
①温暖化対策最優先派
地球温暖化は間違いなく起こっており、人類が地球環境を破壊することは絶対的に悪であり、経済活動や生活を根本的に変えてでも防ぐべきである。
②現実解派
地球温暖化が起っているのは事実ではあるが、経済や生活を根本的に破壊するような対応はすべきではない。
③地球温暖化自体がウソ派
地球温暖化自体がウソであり、陰謀である。
最近よく売れている本は②と③を掛け合わせたようなものが多い。
「脱炭素を急激に進めると経済や生活はめちゃくちゃになる。だいたい地球温暖化自体がCO2が原因かどうかは証明されていない」みたいな論調です。
確かに「現実解」という言葉は心地がいい。
ただし、安易に現実解に逃げ込むのは将来世代に対してあまりに無責任だと思います。
①を基本にし、いかにその衝撃を和らげるかに我々は注力すべきでしょう。既に取り返しのつかないことは幾度と報じられていますが、それでも衝撃を受ける記事。ひとつが崩れると連鎖して加速的に事態が動いてしまうとのこと。海抜の低いツバルなどの国ではどのように報じられるのでしょうか。子どものことを考えても、朝から苦しくなる記事でした。
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米地球物理学連合(AGU)の年次会合で米英の共同チームが報告した研究によると、最近の衛星写真から、この棚氷に大きなひびが広がっていることが分かった。
英南極観測局のピーター・デービス博士によると、ひびが全体に広がれば、棚氷は車のフロントガラスと同じように壊れやすくなり、やがて粉々に砕けてしまう。暖かい海水で水面下の氷が解けると、水の流れが速くなって氷のひびが増え、崩壊の危険がさらに高まる。
デービス博士も、これから起きることは止められず、できることはスピードを抑える程度だと主張。人間はこの数十年間、温室効果ガスを排出し続けた結果を受け止めているのだと語った。