【3人に1人】病気を抱えながら、自分らしく働き続けるには
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病気を抱えながらの就労という両立支援は産業保健でもホットな分野です。特に患者数の多い癌領域では「フルで働くor休む」の2択ではない、本人の希望を尊重したグラデーションがようやく浸透してきましたが、潰瘍性大腸炎やクローン病など免疫疾患にまでその理解が追い付ているとは言い難い状況です。
例えば潰瘍性大腸炎の場合、激務をこなしていた安倍元首相のような方もいる一方で、重症の場合は大腸の炎症が改善せずに大腸摘出からの人工肛門という場合もありえます。元々広く知られている疾患でもないし、さらにその中でも個別性が高のが特徴です。
この手の話題は労働者vs資本家というような、「理解のない経営者」に敵を設定したくなってしまいますが、実際に産業医としてIBDの方と面談すると、経営者や人事は両立支援という社会的な流れを理解していても、現場の同僚は、「あの人ばかり不公平」という近視眼的な発想に囚われており、会社は理解してくれても、現場では働きにくいというような相談が意外と多いのです。
病気は誰でもなりうるもの。近視眼的にそれを排除していくような発想では、回り回って結果的に自分も住みにくい社会(≒会社)になってしまう。こういうことは経営者や人事だけでなく一般社員にも幅広く理解してもらうよう啓蒙していくことが重要だと思います。難病だけではなく、頭痛や生理痛、そして腰痛などにも当てはまると思います。
今年のWork Story Awardでイーライリリーさんの取り組みが受賞ストーリーの一つになりましたが、働く人々と周りからは見えづらい、理解されづらい"辛さ・不調"は本当に多種多様です。
https://award.atwill.work/stories2021/392/
難病は自分には関係ないからわからない、ではなくそれぞれの辛さをお互いに理解していけるようになると、環境はより良くなっていくはずです。病気を抱え治療のための休職を繰り返しながら就労継続に挑む社員をたくさん見てきています。
そこに平等であるべき論を持ち込むとこうした人を取り残すこととなります。
経営や人事で両立支援に手を差し伸べて就労と治療のバランスをとる、ワークシックバランスこそが公平、フェアだと思う。
とかく、健康な人、特段の事情なく仕事にフルパワー注げる強者の理論で自分たちのように仕事しろ、出来ない人を非効率としないように正しく権力を行使していくのが人事に関わる経営者の大事な仕事。