ワクチンパスポート「衛生パス」義務化に怒るフランス人 「自由奪われる」毎週のデモ
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フランス革命を成し遂げて自由を得たフランス国民が自由を求めて憤る気持ちは分からないでもないですが、国民の強すぎる権利意識とこうしたデモが、労働関係を始めとする既得権益を擁護し自由な経済活動を阻害し、シュレーダー改革で経済を成長軌道に乗せたドイツとの違いを生んで来たのかも。リベラルな政権を生んだドイツもこの先の動きは分かりませんが。
大きな反発無くワクチン接種が進んだ日本ですが、次の感染拡大期にワクチンパスポートを有効活用できるのか。接種を受けるか受けないかは自由であるべきですけれど、接種の権利が保障され物理的に打てない事情がある人が保護される限り、他人に感染させる可能性のある場所への出入りの制限はやむを得ないところであるような気がします。日本では、デモを起こすまでもなく政府が及び腰になりそうで心配です。 (^^;記事に書かれていない数字的な事を書くと、デモへの動員人数は8月のピーク時に全国で20万人を超えたのが現在は2万人台で規模感としては普通のデモです。報道での扱いもかなり下がりました。
理由は幾つかありますが、一つは12歳以上の接種対象人口で接種を受けた人が9割を超えており、衝突はあったものの衛生パスを用いた「裏口からの接種義務化」は結局それなりに機能したという点があります。
8月の世論調査が引用されていますが、COVID関連の意識調査で第一に参照されるのはSanté publique Franceが毎月実施しているCoviPrevという調査で(英国にもONSによる同様の調査があります。日本には無い)、前回の調査での健康パスへの支持は6割といったところ。
あとスーパー等の必需品の買い物にパスは不要。その他の買い物でも健康パスを求められるケースはかなり少なくなっています。
(と色々補足したように、大まかな現況の説明がない点で個人的にはちょっと書き方にバイアスを感じる記事です)
以前にも書きましたが、この問題はフランスの三色旗の標語でもあるLiberté, Égalité, Fraternitéに沿って整理する事が出来ます。この記事で挙げられている声はまさにLiberté(自由)とÉgalité(平等)からの主張です。
他方でマクロンは「自由とは他者を守り他者の自由を尊重することで存在します」とSNS動画で訴えましたが、これはFraternité(友愛)の面から説得を試みたものと解釈できるかもしれません。
こうした原則論でガンガンやり合うのは日本人感覚では面倒くさいなと思う一方で議論無しの空気感で進むよりは健全だと思います。日本の「接種・検査パッケージ」に関しても国会での議論はゼロですよね。
記事最後の「新しい規範」の懸念についてもフランスで個人情報保護を扱う最重要機関であるCNILが上院から諮問を受けた際に指摘していた点です。
衛生パスの効果に関する政府の科学評議会の評価は接種推進には明確な効果があったが感染防止に関して定量的な評価は難しいというもので、CNILも後者の評価を繰り返し政府に求めているところです。フランス人の自由というと革命によって手にした権利みたいにカッコよく言われることが多いですが、自由には責任を伴うもので、この非常事態に及んで権利だけ主張するのはどうよ!?といった冷ややかな見方はデモ反対派、ワクチンパスポート推進派も持っています。
デモ参加者も衛生パスそのものに対する反対というより、政府がやることなすこと気に食わないといった人たちも多数います。
そもそもデモはヒマがないとできないわけですが、ヒマになるには自動化の流れでやコロナ禍によって職を失ったり、再就職できなかったりといった根深い事情があるわけです。
フランスでは、こういった形でアメリカ同様の二極化がちょっと違う見え方で進んでいるに過ぎません。