米メルク、日本でコロナ飲み薬の承認申請
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背景となった臨床試験では、全ての参加者が60歳以上または重症化リスクを1つ以上持っていましたので、必然的に実際の投与対象者も、全ての人ということではなく、試験参加者と同じか近い形になると考えます。
試験の結果として、中間報告では、入院が約50%減少と報告されていましたが、米国FDAの公表した最終報告では、入院、死亡が30%減少という有効性にとどまったことが明らかになりました。
ご参考までに、抗体製剤では、重症化を70%程度減少させる効果が示されていますので、寂しい結果に終わったと捉えざるをえません。
この結果から、有効性という意味では、決して高いものではなく、ゲームチェンジャーというような存在にはならないものと予想されます。加えて、この薬はウイルスに変異を促してウイルスを減少させるというメカニズムで働くため、懸念すべき変異を誤って生み出さないかという懸念もされています。臨床試験で捉えられなかったであろう稀で重篤な副作用の可能性も含め、有効性と安全性の天秤という点で判断が難しいところです。
実際に米国FDA諮問委員会での投票でも、僅差の支持という結果でした。
これらのことから、モルヌピラビルが承認されたとしても、いまだ最も重要なピースは、ワクチンによる予防であることに変わりはなく、飲み薬の治療薬には更なる改善と進歩が求められると思います。
参考文献: https://www.fda.gov/media/154419/downloadメルク社の抗ウイルス薬「モルヌピラビル」の承認審査で先行する米国では、2021年11月30日、FDAの諮問委員会が当医薬品候補の承認を支持する意見を出しているため、近いうちに米国で緊急使用許可がされると思います。日本では当薬剤の主要な臨床試験は実施されておらず、米国の決定に倣うものと思われます。
「コロナ飲み薬の使用勧告=メルク開発―米当局諮問委」(時事通信社 2021年12月1日)
https://newspicks.com/news/6402017?ref=user_1310166
米国の承認過程では、二重盲検比較試験の詳細解析での有効率は約30%にとどまったため「そもそもの有効率から」反対する委員が多かったことが伺えます。当医薬品候補を使用した死亡者がゼロだったことは評価されていると思います(プラセボ群では8名死亡)。審査のタイミングから推測してオミクロン株に対する効果予測も評価に入っていると思います。予想価格は1症例当たり8~9万円です。
オミクロン株は、従来の新型コロナウイルスからの変異が30程度と多く、この部位がコロナウイルスがもつスパイクタンパクに大きな変化を及ぼし、その結果ヒトの細胞との結合力に変化が現れやすいと専門家は考えています。したがって、今回のような変異部位が多いとされる変異株にはワクチンを作り替えたほうが良い場合があることがと指摘されています。約2カ月前、ビオンテック社もそのようなワクチン開発の必要性を指摘していました。
「2022年半ばまでに新型コロナの新たなワクチンが必要になるかもしれない — ビオンテックCEOが指摘」(Business Insider 2021年10月6日)
https://newspicks.com/news/6244802?ref=user_1310166
一方、メルク社やファイザー社がFDAに緊急使用許可を申請している抗ウイルス薬は、一般にコロナウイルスの増殖にかかわる酵素(ポリメラーゼや3C様プロテアーゼ)を阻害する化合物として開発されたものです。
コロナウイルスは遺伝子を構成するタンパク質を特定の部位で切断して増殖していきますが、これを阻害するのが抗ウイルス薬の働きであり、オミクロン株にも同様に「(コロナウイルスの増殖の際の阻害)効果を示すはず」との観測をもっているのだと思います。待ち遠しいのはファイザーのPaxlovidパックスロビッドです。
メルクのデータ分析によると、 molnupiravir(モルヌピラビル)は、症状の発現から5日以内にピルを開始すると、COVID-19患者の入院と死亡のリスクを30%低減します。
ファイザーの薬であるパクスロビッドの方がはるかに効果的であると言われている。入院と死亡のリスクを89%削減することを示す予備的な結果を発表してます。
モルヌピラビルとパクスロビッドはどちらも、1日2回5日間服用です。
ちなみに1回当たり31万円モノクローナル抗体は入院と死亡を減らすという点で、重度のCOVID-19のリスクが70%から85%減少します。
結論:Paxlovidパックスロビッドを早く日本で承認、使用できる状態にするべき。