全日空と日本航空 脱炭素実現へ 植物由来の燃料量産で連携へ
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SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)をはじめとする新しい環境技術は、投入する資金も規模が必要ですし、実用化の際も一定規模以上の安定的な需要を確保したうえでのコスト低減がひとつの大きな課題であることが多く、複数の事業者で協調的に推し進めるのが望ましい場合がしばしば見られます。
日本の代表的な航空会社であるJALとANAがSAFの開発利用に積極的に関わり、日本の空港におけるSAFの安定供給と現実的な価格の実現を推進していかなければ、国際空港としての競争力を維持できなくなるという危惧もある中での連携です。
今後の協調的な動きが楽しみです。
共同レポート「2050年 航空輸送におけるCO2排出実質ゼロへ向けて」
https://www.anahd.co.jp/group/pr/pdf/20211008-1-1.pdf原油価格の高騰もありますし、有事の時のロジスティクスも保証されていませんから、調達の多様化は必要です。
SAFについては先日NewsPicksでも特集がありましたが、やはり最大の課題はコストであり、その理由として大きいのは大量生産ができていないからです。大量生産については鶏が先か卵が先かのようなことが言え、大きなニーズがあって、徐々に生産体制が拡充してくるものです。したがって需要が先に必要なのですが、これを航空会社同士でSAF技術を囲いあってしまったのではそこで潰しあいになってしまい、結局技術発展が遅れてしまうことにつながりかねません。これが最大の理由ではないかと思われます。
また、日本と世界という視点で見たときに、SAF技術について自国で賄うことができるかというのもエネルギー安全保障のポイントです。そのほかにもコロナで業績の落ちた航空会社のイメージアップ、そして株価上昇のためにESG投資も呼び込もうという魂胆も見えてくるようです。
航空業界において、現在の燃料はほぼ灯油に等しい品質ですが、これを水素にするのは既存の給油設備全体を作り変えるような大変骨の折れる作業ですし、すべての旅客機を対象とできません。それであれば似たような物理的性質を持つSAFを用いることで、ICAOで変なことが決まる前に航空会社として先に技術を獲得し、CO2やSAFについての基準の策定についても意見を出せるようになることを目指すのはふつうです。
しかしこれほど急に動いている(ように見える)のは、やはりICAOに何か書かれそうだからという理由があるのかなと勘ぐってしまいます。