【解説】話題沸騰。銅は「新たな原油」か?
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銅は、デジタル、脱炭素の世界トレンドの両方に用いられている。半導体や電気自動車。熱伝導性の性質から主にヒートシンク(熱を逃す)の役割で用いられる事が多い。リチウムイオン電池の負極材にも銅箔が使われている。
(高騰要因)
要因としては、
①最大の消費国である中国での需要が伸びている
②米国政府が大規模な経済政策を掲げたことによる経済成長への期待
供給面の問題としては、
①最大の銅鉱石生産国であるチリの鉱山で労働争議が発生
②銅鉱石の一大生産国であるペルーでは、7月に急進左派政権に交代し、資源鉱山の国有化や規制強化が懸念
これにより、銅の価格高騰と共に国内企業は使用制限や製品の値上げで対応する必要が出てくる。
(対策)
40年以内に埋蔵する銅が枯渇する懸念がある。
そこで、銅に代わる素材として注目されているのが、アルミニウム。
①アルミは銅ほどではないが、導電性や熱伝導性にも優れた素材
②銅よりも価格が低い
③埋蔵量が膨大で、当面は枯渇の懸念が少ない
(例)
この8月、ソニーグループは最新ゲーム機「プレイステーション5」の仕様を変更。最大の変更内容は、ヒートシンクと呼ばれる放熱部品。その基板に使われていた銅が、アルミと思われる別の金属に置き換わった。
注目のコメント
「金の斧 銀の斧」で知られる寓話があります。きこりが川に鉄製の斧を落としてしまったところ、女神が現れ、「あなたが落としたのはこれですか」と金の斧、次に銀の斧を見せる物語です。
ゲームでも、金や銀の武器・鎧が登場しますが、実用性とコスト面の双方から、実際には金や銀の武器・防具はないはずです(飾り物はあるかもしれませんが)。
一方、青銅器時代に象徴されるように、銅は錫(すず)との合金である青銅として、鎧や兜に実際に使われた歴史があります。
そんなわけで、金銀銅と並んで扱うこともあれば、実用面で鉄やアルミばりに活躍している汎用素材である銅。元来、「ドクター・カッパー(銅)」という言葉からして、あらゆる製品に使われる銅は景気を示す指標とされてきました。
その銅が「New Oil」とも形容される今、世界の経済界が、銅の高騰に注目している背景について解説します。冒頭で紹介されている「蛇口の盗難事件」を追った、NHKの新人記者の方のルポが面白かったです。街のニュースも世界に繋がってるんだな……と思わされる、ジャーナリスティックな内容でした。
蛇口はなぜ消えた? 追いかけた先には…
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210723/k10013150011000.html