ECB、7月理事会で指針案を一部修正 意見対立受け=議事要旨
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「フォワードガイダンス」というのは、本質的に難しい政策です。
「インフレの上振れ」という事態がまだ遠景として実感されていない時には、「ガンガン緩和を続けると言え!」という議論がドミナントになりがちですが、実際にインフレが高進する事態になってしまうと、そんなことを言ってはいられない、という「動学的不整合」の問題があるからです。その匙加減をコトバだけで何とかしよう、というものですので、揉めるのも当然という気がします。
もともとフォワードガイダンスは、世界的な低金利環境の中、「ゼロ制約下でも金融政策は有効」と言いたいがために、その有効性が過度にプレイアップされてきた印象を受けます。「金融政策でできることはどこまでか」という本質的な議論が、いずれ必要になるだろうと感じます。複雑なフォワードガイダンスの内容から十分予想できましたが、やっぱり理事会では揉めていたことが明らかになりました。9月には経済見通しをレビューしたうえで、PEPPの見直しを行う必要があるので、そこまで議論を続けても良かったと思います。
本件に限らず、現在のECB理事会での意思決定には、コンセンサス形成を重視する余り、異なる意見をそのまま一緒にしてするようなアプローチが見られます。