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パラリンピックが近づく中、触れたいと思っていたテーマです。世間では健常者と障害者という言葉で区切られていますが、障害の種類と程度が千差万別であることを多くの人が見落としているかもしれません。

知的障がい者は非常にわかりやすい一例で、この記事にある通り連続的なIQの正規分布のうち、70という境界で区切っているに過ぎません。当然ながらIQの平均値は100のため、平均的な健常者との違いという意味では、IQ130以上の方々と同じなんです。

身体障害者は体格等の正規分布からはやや外れる気もしますが、例えば足に軽度の障害があるクラスで世界一のパラバドミントン選手は、身長が190cm以上あります。この体格を踏まえた場合、彼の総合的な運動適正は平均的な健常者より優れていると思われますが、人為的な区別により彼はパラ選手となります。

福祉行政では障害認定や重さによる等級がありますが、本来は健常者も含めて人間は多種多様な身体・知能を持っており、これらはその集団に境界を定めて人為的に区別しているに過ぎません。
もちろん社会システム的に必要な制度のため決して否定できないものの、その人に対してラベルを貼らずにありのままを理解することが最も大切なことでしょう。そしてそれが難しい…
「境界性知能」の問題については、児童精神科医の宮口幸治さんの著作『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)で初めて多くの人たちに知らされることになりました。
いわばその本がモトネタでそこから企画がスタートしてるであろうこと、少なくとも著作の内容を参考にしていることは明らかであるにもかかわらず、
<精神科病院や医療少年院で勤務した経験をもとに、そこで出会った境界知能の子どもたちの実態を書籍にまとめました。
2019年に発行されて以来、70万部を売り上げ、「境界知能」に関心が寄せられるきっかけとなりました>
と書籍名をすっぽりねぐってしまっているのはなぜでしょうか?
放送法でも、広告放送が認められていないNHKでも「放送番組編集上必要」な場合は、「著作者又は営業者の氏名又は名称等を放送することを妨げるものではない」(88条)とわざわざ、著作物を例外として示してあります。
これは、先行している著作の内容を紹介する場合に、著作物の名前と著者名を記すという著作権法の精神に配慮したもので、そんな法律のことを言わなくとも、すべての知的活動においての基本中の基本だと私は思っています。
NHKでも人によって温度差があるように思います。そうした著作物、先行の事例にたいする当然の配慮がある人も多いので、これは2016年入社の記者の責任というよりも、当該放送のデスクやプロデュサーの方に十分に考えてもらいたいことだと思います。
放送自体は、「境界性知能」で苦しんだ女性に実名で経験を語ってもらうという意味のあるものでした。今後も「境界性知能」の問題にとりくむことを末尾に記してあるので、この著作に対する当然の敬意という問題についてもあわせて考えてほしいと思います。
マイケル・サンデルが『実力も運の内 能力主義は正義?』で継承をならした能力主義偏重の世の中の歪みが出ているような事例。学力、能力、知識で「差別」される世の中では、人々が生まれながらに定められた知能のグラデーションがそのまま社会での評価につながりかねない。