中国、営利目的の個別学習指導禁止 関連企業の株価急落
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中国の長期的な最大の課題が少子高齢化であるとすれば、少子化をとどめる有効な政策の一つに、教育費の抑制があります。
中国では、教育への出費の過熱はとどまることを知らず、可能ならば私立学校、公立学校だとしても高成績の学校へ入るためその学区に不動産を購入して転入する、といったことは子どもを持つ親ならめずらしくはなくなりました。
学校に入ったら入ったで、学習塾やオンライン教育で成績を上げ、各種習い事に通わせる、ということに血眼になる親も、やはりめずらしくありません。これでは教育費がかかり、子どもを2人以上持つのは無理、となります。日本もそうですが、東アジアで共通してみられる、少子化が進む大きな要因です。
昨日ニューヨーク市場で株価が10%以上下がった新東方教育科技集団や好未来教育集団は、教育費高騰の波に乗って、急成長し、米国での上場も果たしました。結局、中国政府としては、民間企業に自由にさせていては、教育費が抑制できるとは考えられないのでしょう。
教育が立身出世につながる以上は、解決のむずかしい問題です。教育の価値を減らすか(そうなると特権が世襲される社会になり、イノベーションが起きなくなります)、政府しか教育をしてはならない、ということにするくらいしかないでしょう。本当に金持ちなら個人の家庭教師を雇うでしょう。学習塾やオンライン教育の企業は、中間層でも教育の競争に参加できるようにした、という面もあります。
中国でグループ展開しているベネッセや公文も相当な影響を受けるのではないでしょうか。「収奪的制度」をとった国家はことごとく衰退してきた
ーーそう結論付けた『国家はなぜ衰退するのか』という本があります。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00EJA1CJA/
繁栄の絶頂から転げ落ちた様々な国家の制度を振り返った書。
「民の富を統治者が恣意的に収奪する国家は衰退してきた」という話です。今回の例はまさにそのケースではないでしょうか。
一生懸命商売をしていて ある日突然お上から「あんたの商売・仕事はやっちゃ駄目だ」というケースが繰り返されるのが収奪的制度国家。
そんな国ではそのうち「リスクを取ってイノベーティブな挑戦をしよう」とは誰も考えなくなります。
「中国が21世紀中に経済規模で米国を上回る」という予言は、「ソ連邦が20世紀中に経済規模で米国を上回る」という1950〜1960年代の予言と同様の道をたどるのかもしれません。少子化対策とのこと。確かに教育費の高騰は問題ですが、それなら個別指導のデジタル化・AI化によるコスト低減と競争促進によって現在のサービスの価格を下げることのほうが効率的にも思えてなりません。どうしてそうならないのか、理由を知りたいです。