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薬局の薬剤師は、患者と対面して患者が医師から受け取った「処方箋」をみて、理にかなった医薬品が処方されているかをチェックする責務を負います(医薬分業の主目的です)。疑問点がある場合(用法、用量、飲み合わせ、理にかなっていない処方内容など)は、処方箋を記載した医師に電話連絡し内容を確認、誤りであれば訂正の承諾を得ます。医薬品を患者に渡す時点では、服用する上での注意事項などを伝えます。
このような業務は、薬剤師の基本業務であり「服薬指導」と呼ばれますが、現在、これがオンラインで認められるのは、「付随する診療がオンラインである場合」に限られていますので、対面での診察を受けていれば、薬局はオンライン服薬指導を拒否せざるを得ません。
診療の場合、聴診、触診などのバイタルサインと検査データの取得ができなければ、診療の質は高くできませんが、オンライン服薬指導はそれほどまでには対面でないと困難な理由は見いだせず、なぜ認められないのか、首をかしげざるを得ない状況にあります。
薬局側がオンライン参入しないことについても、インセンティブ上の理由があります。最も大きいのは、オンラインであろうがなかろうが、薬剤師1名あたりの応需処方箋の枚数は40枚/日となっていることで、さらには、調剤設備などもオンラインであっても対面型の薬局と同基準の設備を作る必要があるため、オンラインでも無店舗にするなどの合理化は不可能です。(むしろオンラインへのシステム対応の費用が薬局からの持ち出しになります。)
また、配送料を患者負担とするなら患者からクレームが発生する原因になり、薬局負担とするなら経費がかさみます。現状のオンライン薬局はコスト的にデメリットになるため、「医療用医薬品の入手はオンラインが普通」の世の中になるまでは、普及は難しい状況にあります。
それでも大手調剤薬局がオンライン服薬指導、宅配、ロッカー受け取りに設備投資をするのは、「法規制が変わった場合に業界地図が激変する」ことを期待してのことですので、動向から目が離せません。