AIの軍事利用加速(写真=ロイター)
日本経済新聞
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軍事はAIと相性の良い分野です。AIの自己学習のスピードと質が向上すれば、人間による状況判断を超えて、効率的な作戦遂行ができるようになるでしょう。
一方、AIの軍事利用が進むと、人間の関与が逆比例で減少することとなりますから、人間の関与がない人員の殺傷も増えてきます。欧州GDPRは、人が関与しない自動的意思決定のための個人データ処理には個人の同意を求めていますが、それは個人が知らないところで自動的に選別の対象とされることが、個人の自由と権利を不当に制約することとなるからというのが理由です。AI兵器も同様に、機械が勝手に自分を攻撃の対象と判断し、それに異議を唱えられないという事態が発生することも、十分に考えられます。
テロとの戦いで、昼は遠隔操作兵器(攻撃型無人機など)でテロリストを殺害し、仕事が終わったら夜は家族と楽しく夕食を取ることの落差に苦しんでいるお父さんの精神的苦痛が報道されたことがありましたが、これも人の介在という抑制装置の一つといえるでしょう。恐るべきは、AI兵器が「普通」の兵器になった場合、現場で人が殺傷されることのリアリティが得られなくなることです。敵とはいえ、人の命を奪う行為には、人が主体として関与する余地を設けるべきではないかと考えます。