群れる個人マネーの死角 「テーマ運用」ひずみ生む
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先月金融庁より公表された年次レポート(※)でも久しぶりにテーマ型投資信託を採り上げていました。銀行や大手証券会社の投信売れ筋上位5銘柄の資産カテゴリーをみたところ、全体的にテーマ型投資信託が再び増加傾向にあるとのことです。テーマ型投信のテーマの移り変わりは早く、2015年度は医療関連、2016年度以降はデジタル関連、足下ではSDGs、ESG関連となっており、これらテーマ型投信は、新規設定から一定期間後には資金流出に転じる銘柄が多く、ESG関連投信が長期投資となるのか注目するとしています。
そして販売員がテーマ性の強い商品を提案する際は、商品性やその商品が長期投資に資すると考える理由、テーマに沿った運用がなされていること等について、その他の商品以上に、顧客に対し丁寧に説明し、顧客の理解を得ることに関する強い責務があると考えられるとしており、ここで「強い責務」というあまり使われない表現が使われていることに当局の問題意識を感じます。
※「投資信託等の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」
注目のコメント
テーマ型運用は、マスの個人投資家を相手にした投資ビジネスには不可避だが、不意の株価急落などで投資家がいっせいにテーマ型投信の解約に動いた場合には「(投信の運用会社は)株式を売却するのが困難になる恐れがある」というのはたしかにシステミックリスクの一つとして頭の片隅に置いておくべきでしょう。サブプライム危機のときも、投信の解約売りが証券化商品の価格下落を加速し、それが金融機関の破綻に結びつきましたが、それと全く同じです。ただ、それを過度に恐れていてはなにも出来ませんよ。
金融庁は、本当に顧客本位の業務運営をしているかどうか、金融機関ごとに調査して結果を発表しています。また、民間ベースでも覆面で調査をして発表されています。営業担当者の言うことを鵜呑みにせず、こういった客観性のある調査を先にして、取引すべき金融機関を選ぶべきですね。金融庁のサイトは以下です。
https://www.fsa.go.jp/policy/kokyakuhoni/kokyakuhoni.html