バイオ薬製造の受託強化 富士フイルム、コロナワクチンも
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ベンチャーの活動で見ていると、いわゆる「バイオ薬」のスタートアップはコロナはるか前から非常に活発で、この分野が次のフロンティアなのだな、というのは漠然と思っていました。問題は治験と製造で、ベンチャーではここがどうしても無理なので、これを橋渡しするための独特のエコシステムができつつあります。富士フィルムがどういう形でここに入ってくるか、興味あります。
バイオ医薬品の製造は、化学プラントではなく、生きた細胞を使った製造を行うため、コンタミネーション(ウィルスや雑菌の混入)や不均一性のコントロールなどの課題があり、コストが高いと言われています。
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000655558.pdf
例えば、希少病に特化したバイオベンチャーとして、有名なジェンザイムですが、製造面では過去に度々、FDAから指導を受けています。
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=39568
ジェンザイムが、2011年にサノフィに買収されたときの金額は201億ドルでバイオベンチャーとしては、間違いなくトップクラスでした。このような事例を見る限り、バイオ医薬品の製造はそれだけ難易度が高いということを示唆していますし、そもそも他の製造業と異なりFDAからの承認や査察を受けなければいけないというハードルがあります。
ちなみに10年ぐらい前には、バイオシミラー(生物医薬品のジェネリック薬)への参入が話題になっていました。ジェネリックと言えど、生物医薬品の場合、製造工程について、FDAの承認を得なければいけないため参入障壁が高く、低分子のそれに比べて薬価も下がりにくいと予想され、比較的大きな資本を持ったところの参入の話も聞かれました。
別のソースでは、富士フイルムの連続生産についての言及もあります。
https://www.fujifilm.com/jp/ja/news/list/6719
連続生産を含めるとなると野心的な試みだと思います。医薬品の連続生産は、「バッチ生産のように工程ごとに生成物を取り出す必要がなく、製造にかかる時間や人手を減らすことができ、人的ミスの低減」も期待できると言われており、
https://answers.ten-navi.com/pharmanews/20203/
注目を浴びていますが、今のところ、FDAなど規制機関の承認を得ているのは6製品のみでありかつ、全て低分子医薬品で、未だバイオ医薬品で承認を得たところはありません。
https://www.pharmaceutical-technology.com/comment/continuous-manufacturing-of-biologics-2020/新型コロナのワクチン・治療薬の状況が象徴的だけど、高度なデータ処理のウェイトが大きいバイオ医薬品の開発で国内勢は完全に出遅れたから、こうして製造工程に特化するのは正しいと思う。設計だけでなく製造工程も海外に流出したプロセッサーの二の舞は避けたい