週休3日制試行「大成功」=生産性落とさず幸福感向上―アイスランド
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アイスランドは一人当たりのGDPは世界有数に高いのに、時間当たりのGDPは低く労働時間が他の国より長い、そしてワークライフバランスの満足度が低く、労働以外の自由時間がチリ、メキシコ、日本などの長時間労働国並みに少ないことが国民の間で不満であったことがこの実験につながった、とレポートのバックグラウンドの説明に書いてあります。
実験の二つの主な目的は
(1)労働時間を減らすことが現在の低いワークライフバランスの満足度を高めることができるのかを検証する。
(2)生産性を下げずに労働時間を減らすことができるのかを検証する。特に、収入はそのままで労働時間のみを減らす実験であるため、現在のサービスの量と質を下げないことが重要。
ということで、生産性に関しては、取り扱った検案の数やプロセスにかかった時間、顧客満足度など、数値やインタビューなどで幅広く検証しています。レポートによると、いかにして短い時間で同じアウトプットを出すか、職場やチームごとにかなり工夫したり考えたりしたようですし、その事例も色々紹介されています。また、結論としては、概して二つともイエスであった、ということですが、例えば医療系の現場ではスタッフを増員する必要があったとの報告です。しかし、そのコスト増はそれぼど大きくはなかった、とのこと。
また、実験はフルタイムの労働時間を40時間から35~36時間に減らすというもので、別に絶対に週休3日制にしなければならない、というものではありません。また、増えた自由時間は家族で過ごす、エクササイズする、自分の時間にする、などに使われたようで、仕事のストレスが減ったことも報告されています。
ちなみに、私のノルウェーでのパブリックセクター(大学)のフルタイム労働時間は37.5時間です。最近思いますが、こうした何かを捨てる決意においては、「欲望のダウンサイジング」と「ストーリーの再構築」がセットで必要。日本(その社会システム)はこれがとても苦手なんだよな、と直近のコロナ対応などを見ていても感じます。
よく言われる「失われた20年」で本当に失われたのは日本の社会ビジョン。働き方改革も、働きやすさの先にある働きがい≒幸福度の長引く低迷が示しているのは、本質的には日本の社会が今後どうありたいのか、経済成長だけではない尺度でどうストーリーをつくるか、があまりにぼんやりしていることなんじゃないかという気がしていますこういう施策は、
移行している時と常態化した時で、結果が違うと推測します。
この試行はもちろん移行している時なので、
元々あるミッションをベースにそれを短い時間でやらなきゃ、という生産性をあげる力学が働いています。
しかし、常態化した時には、短い時間を前提にミッションを見積り始めるので、効果は薄れると推測するからです。
成功云々というよりは、週休3日制をやるのである、という意志を持つかどうかなんだと思います。