中西宏明：移動が止まっても、思考は止めるな
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もともとは「Society5.0」という、日本のDXをテーマにした取材予定でしたが、コロナ禍へと状況が大きく変わる中、臨機応変の対応して下さいました。
今振り返ると、昨年3月時点で、ワクチンが普及しない限り、感染症の収束は見込みにくい、と見抜いてたと言えるでしょう。
中西さん経団連会長として採用改革の旗振り役となったことで、日本企業は今、新卒一括採用から通年採用や職種型採用へと、大きく変化しています。
ご本人が経営トップを勤めた日立製作所では、採用直結型のジョブ型インターンシップも始まりました。さらに、「入社式」という呼称を改め、「Hitachi 1st Career Session」としました。
こうした変革は、中西さんの以下の言葉に込められていると思います。
「私の立場から言うと、会社というのは『1人じゃできないこと』を皆で集まってやる『場』です。言い方を換えれば、若い人にとっては他人の金を使って『よりでかいことをやれる場』です」
最後に、ご本人にどうしてもお聞きしたいことがありました。
中西さんのような変革のリーダーは、ある日突然リーダーに任命されたところで、準備不足でその役割を全うできないはず。言い換えると、若いころからリーダーになることを意識して日々の仕事をしてきたはず。
そうした問題意識もあり、せっかくの取材機会にて、「いつ頃から『リーダーになることを意識』していましたか」と、質問させていただきました。幸運にも日本型雇用の変化について、中西さんに2度取材させて頂きました。
・終身雇用や新卒一括採用は限界に来ている
・いい大学に入って、いい会社に入れば、将来は安泰だというのは「幻想」
・いい会社に入るのではなく、その会社で何のプロになるかを考える
・会社は「1人じゃできないこと」を皆で集まってやる「場」
・自分のキャリアは会社ではなく自分が設計する
など、個人のキャリア自律、オーナーシープを自分で持つことを繰り返し説かれ、実際、新卒採用や年功序列など評価の改革など、日本の組織に大きな影響を与えられました。
リーダーは、何らの分野のプロとして、会社にきちんと意見できる人でないといけないというご発言の通り、ご自身が明確なオピニオンをお持ちで、その歯に衣着せぬ語り口、どんな質問にも、真剣に向き合ってくださる真摯で情熱的な姿勢は、取材者も魅了する、余人を持って変えがたいリーダーでした。
改めて、中西さんのご冥福をお祈りいたします。幸運にも、NewsPicksにとって中西さんへのラストインタビューとなった場に、平岡記者と共に同席することができました。今改めて読み直し、中西さんの言葉を噛み締めています。
本日から明日にかけて、NewPicksが過去に実施してきた中西さんへの全インタビューを順次、無料公開することを決めました。いまこそ、すべての人に読んでいただきたいメッセージばかりです。
