豊田通商と関学大、次世代パワー半導体基板の欠陥を無効化する技術
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基底面転移等の結晶欠陥や加工ひずみを除去する”Dynamic AGE-ing”のAGEは、Annealing(焼き鈍し)、Growth(積層成長)、Etching(化学的表面処理)の頭文字を取ったんですね。
SiCやGaNといったパワー半導体は変圧器などの大型の用途にも期待されていますが、価格や耐久性の問題が有ります。AGE(薄毛治療みたいですがw)の処理も3段階あるのでコストが気になりますね。また熱処理全般の熱損失も今後本格的な対応に迫られる領域で、装置メーカーにとってはチャンスとも言えるでしょう。
こうした製法に関するプロセス・イノベーションは地味なので余り注目されませんが、大量生産でコスト削減といわれる裏ではこうした地道な研究が行われています。パフォーマンス指標はコストや品質、エネルギー効率などに収れんされてしまうのでわかりづらいですが、個人的にはこの領域の新技術はとても興味深く拝見しています。ピタゴラスイッチよりもよっぽど楽しい領域です。SiC基板は可能性が詰まっていますが、点欠陥や基底面転位といったトラップ源により、SiCダイオードやMOSFETといったデバイスの性能を上げきることが難しかったという課題があります。本研究成果により、上記課題克服に向けてさらに1歩前進できたというニュースです。
また今回の記事を見るに、いわゆるアニール処理を工夫したというもののようですが、多くの半導体研究&製造施設にはアニール用の炉があるため、技術活用させやすい内容というのも良いポイントです。