夫婦別姓、再び認めず 最高裁、民法規定「合憲」
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最高裁判所HPに決定文が出ています。
(https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90412)
「
しかしながら,民法750条の規定が憲法24条に違反するものでないことは,当裁判所の判例とするところであり,上記規定を受けて夫婦が称する氏を婚姻届の必要的記載事項と定めた戸籍法74条1号の規定もまた憲法24条に違反するものでないことは,平成27年大法廷判決の趣旨に徴して明らかである。平成27年大法廷判決以降にみられる女性の有業率の上昇,管理職に占める女性の割合の増加その他の社会の変化や,いわゆる選択的夫婦別氏制の導入に賛成する者の割合の増加その他の国民の意識の変化といった原決定が認定する諸事情等を踏まえても,平成27年大法廷判決の判断を変更すべきものとは認められない。憲法24条違反をいう論旨は,採用することができない。
なお,夫婦の氏についてどのような制度を採るのが立法政策として相当かという問題と,夫婦同氏制を定める現行法の規定が憲法24条に違反して無効であるか否かという憲法適合性の審査の問題とは,次元を異にするものである。本件処分の時点において本件各規定が憲法24条に違反して無効であるといえないことは上記のとおりであって,この種の制度の在り方は,平成27年大法廷判決の指摘するとおり,国会で論ぜられ,判断されるべき事柄にほかならないというべきである。
」
と、こんな感じで、
多数意見が想定以上に簡潔すぎて…
このような書き方では、
裁判所に見放されたように思ってしまう人も多く、
司法が信頼を失ってしまうと思います。
確かに、夫婦別姓に向けた整備の
第一次的責任は立法府にあります。
しかし、平成27年判決後、
国会で十分な議論がされていないことを最高裁判所は認識しているのですから、
せめて国会・政府における議論・検討を求める記述があれば、
救われる人が沢山いたのではないでしょうか…
注目のコメント
昨年末に、本件が大法廷に回付されたことを受けて、以下のようにコメントしておりました。
結局5年経っても、司法府が(立法府の判断を超えて)夫婦別姓を認めるほどの理由はまだないという判断かと思います。しかし、ある程度国民の議論も深まってきている中で、逆に何があれば認められるのか。判決理由、あるいは補足意見や反対意見の中で、法の番人としての立法府へのプッシュや最後通牒的な一言が入っているのかも気になります。
=昨年末のコメント=
2015年の判決(これも大法廷)では、10対5で合憲判決が出ました。
大雑把にいうと、以下のような感じです。
①夫婦同姓は歴史的にも文化的にも合理性がある。
↓
②もちろん氏の変更にはデメリットが有り、そのほとんどを女性が受けていることも承知している。
↓
③しかし、通称利用が社会で一般的に広まっているので、それで上記のデメリットは緩和されている。
↓
④したがって、現在の制度が直ちに違憲とは言えない。
↓(ここから重要)
⑤しかし、だからといって選択的夫婦別姓制度の採用の余地は別論である。④の判断は現行制度が直ちに違憲ではないとしか述べていない。同制度は嫡出子や氏のあり方に対する社会の受け止め方に依拠するところが少なくなく、これは国会で論ぜられ、判断されるべきである。
その後選択的夫婦別姓に関する議論が国会でも行われていることや、先日稲田朋美議員らにより「婚前氏続称制度」が提案されるなどはご承知の通りです。内閣府が2018年に公表した調査で、選択的夫婦別姓について「導入して良い」が42.5%、「導入する必要はない」が29.3%でした。
つまり、5年経って、再度この社会の現在地を最高裁が見てみようかという裁判になります。反対を主張する人たちは基本的に、名前が変わって苦労した経験とは無縁ですよね?
親の離婚と自身の離婚の影響で32歳にして既に改名3回経験した私ですが、あのときもう一つの選択肢があったら、と今でもよく思います。同じ経験は二度としたくないので別姓が成立するまで結婚もまずないですね。予想通りではあるものの、やはり無念ではある。
私たち国民は、衆議院議員選挙のタイミングで最高裁裁判官を罷免することができる(国民審査)ので、ぜひ各裁判官がどう判断したのかを報じてほしい。
前回は女性判事3人全員が「違憲」の判断を下したように、今回も15人の裁判官のうち過半数が女性だったら「違憲」となっていた可能性もある。
いかに意思決定の場を、多様な属性で構成していくか。政治や司法だけでなく、あらゆる場で重要なことだと思う。