【解説】今、アフリカの「自動車ビジネス」が面白い
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アフリカの都市部には、Uberをはじめ、エストニアのBoltや中国Didiなどライドシェアが参入していますが、ドライバーと所有者が違うのが普通です。自分の所有する車でドライバーをしている人はほとんどいないんじゃないかな。
ドライバーは誰かから借りた車を使い、売上から、Uberにコミッション2割~払い、車の所有者にレンタル料金を払う。さらにここから燃料代などを払っていると手元にはほんとうに少ししか残らない。アフリカでも、値上げやコミッション改善を巡るライドシェアとドライバーの対立はたびたび起こっています。
この対立の解決策のひとつとして、ライドシェア側は小型車を導入して、費用削減を図っています。小型のヴィッツなどが増えたのは、燃費がいいからです。ドライバーの手元にお金を残すために削れるところは燃料費くらいしかない。Uberでなくても個人所有と違って収益性が重要なタクシーは小型車が多いですね。
この何年かのトレンドの変化は外部環境によるものです。中古車輸入業界はこの数年不調で、年式規制や税金増、自動車の現地生産を進めたい政府による施策、またアフリカの経済不況により売上が落ちているところ、比較的裕福な人が購入するライドシェア向けが固い売り先になりました。購入者からするとライドシェア向けは一種の投資です。豊かな人は車を買って資産を増やし、貧しい人はドライバーをしてもいくらも残らないという格差の問題はむしろ大きくなっているかもしれません。
アフリカで日本の中古車は多く走っているのですが、貿易や販売を担っているのは他国の事業者のシェアが高く、日本企業のプレゼンスはほぼありません。もっと日本企業が関わりが増えればと思います。
アフリカにおけるEVをはじめとする次世代自動車の普及の今後は、経済性よりも政策によって左右されると思います。世界の脱炭素、環境のプレッシャーはアフリカにもきていますから、これによって関税引き下げや電力費用への補助、充電ステーションの整備が進めば動きもあると思います。たとえば、電気自動車を現地で製造すれば、ガソリン車の新車輸入において関税優遇を受けられるなどすれば、自動車メーカーもEVなどの製造に動く可能性があります。アフリカは電力も高いですが、燃料を自国で作っている国は少なくガソリンなど燃料も十分高い。補助金やインセンティブがどこにつくか次第です。アフリカの車の流行は、ある程度は操れる。
今回の取材の中で、最も面白いポイントでした。自動車をほとんど作っていないアフリカは、商品をサプライヤーに依存します。そのため、どの商品を輸入するかで、トレンドが大きく変わる、変えられるマーケットのようです。
昔から海外ビジネスのポイントは「現地化」だと言われますが、まさにその典型例のような話ばかりで、とても勉強になりました。面白いですね。
中国でもプレゼンスを残しているのは初期に進出した企業がほとんど。タネを巻いておけるかは重要ですね。
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だからこそ、今アフリカの若者にアプローチしておくことが、10年後、20年後の日本の自動車ビジネスに効いてくると思います