米・EU、航空機紛争で長期「休戦」合意 対中国で団結
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これは歴史的とも言える合意です。
エアバスとボーイングに関するEU・米の報復関税はWTO史上最長・最大の紛争。トランプ退陣の直前(今年1月)にも最後の報復関税を発動していました。
元々は1970年代のフランス商法に基づく「会社でもなく」「NPOでもない」そしてなんと「法人税の納税義務もなく」「国家からの助成金の公表義務もない」なりふり構わない組織体としての当時のエアバス・インダストリーG.I.E.が生まれました。欧州による執念の産物です。
(即ち、もともと欧州と米国が「モメるに値する」ある意味メチャクチャな通商・産業政策に起因しています。)
今般のバイデン政権の「対中国のために、欧州とはいろいろ協調」という姿勢でついにこの紛争に終止符が打たれる(ひとまず停戦)とすると歴史的なことです。米欧中三つ巴から、米欧対中と戦いの構図が変わった??わけですが、元々最大のユーザーであった中国を排除して良いのでしょうか???
「中国製造2025」を錦の御旗に、元々技術の内製化を志向していた中国です。彼らだって、既に国産旅客機を造れるわけです(COMACですね、勿論、品質は未知数ですが)。
突き詰めて考えると、中国の内向化に拍車をかけているのは、むしろ米欧からの圧力ではないでしょうか。世界経済のブロック化を促しているのが、自由を重んじる米欧であるとすれば、実に皮肉な話です。資本主義に則った民間の航空会社の思惑と、米中対立という国家間の政治的思惑が交錯している状態ですね。
2010年代は、中国によるエアバスやボーイングの「爆買い」が話題となってきましたが、米中対立の激化や、中国がこの間、国産の旅客機の開発を着実に進めてきたことなど、その頃とは随分フェーズが変わりました。
今年4月1日のロイターの記事では、
「米航空機大手・ボーイングは31日、中国との関係について貿易と人権問題を分けて考えるよう米国政府に求め、自社が中国市場から締め出されれば、欧州の同業エアバスが利益を得ることになると警告した。」
とあります。
(https://jp.reuters.com/article/usa-trade-boeing-idJPKBN2BO3P9)
日経アジアも興味深い記事を出しています。
「中国航空3社、欧米機の受領延期、国策COMACは「聖域」」
中国の国有航空大手3社が米ボーイングと欧州エアバスの航空機計100機以上の受領を先送りした一方、国策を担う中国商用飛機(COMAC)への発注分は全て予定通り受け取っていたことが分かった
としています。
(https://asia.nikkei.com/Business/Aerospace-Defense/China-s-big-three-airlines-put-off-Boeing-and-Airbus-deliveries)
巨大な市場を持つ中国とどう向き合うのか、今後の展開が気になります。