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VC通じたスタートアップ投資も、また日本株投資についても基本的にはTOPIXやMSCI Japanをベンチマークとして、マザーズを含む中小型指数を対象とした年金・基金向けの運用はそんなにないと思う。また指数から外れてもいいというファンドも少なく、そういうファンドの投資家は大体は海外。
過去のマザーズバブルなどの経緯や、年金の担当者が経理財務なども兼ねていることも少なくないキャリア上の構造もある。上場・非上場問わずスタートアップ投資がリスクが高いという前提で、でもポートフォリオとして一定配分していくように変わっていって欲しい。先日亡くなられたイェールのスウェンセン氏は、ポートフォリオ理論に本当に忠実で、それを大学にコミュニケーションして、オルタナ投資を広げた。異なるリスクプロファイルの資産クラスに分散投資をして、長期の時間軸が効く戦略という点では、日本ではスタートアップ投資を上場・非上場問わずもっと増やしていって欲しい。
もちろん、その投資先として資するスタートアップが一層多く出てくることが前提だし、バブルや単純な資金流入を礼賛するものではない。
https://newspicks.com/news/5839132
2021年6月15日時点で、マザーズに上場する時価総額1000億円以上の会社は16社です。
日本の場合はマザーズが、いわばレイトステージVCの代替機能を果たしており、他国と比してスタートアップが比較的早い段階で上場する傾向にあると言えるでしょう。
この点で「ユニコーン」を杓子定規に捉えて一概に他国と比較すると、大局を見誤ることになります。
「ユニコーン」という言葉がなぜこれほどまで取り沙汰されているのか、その意味を改めて考えてみると、世の中に大きなインパクトを及ぼすスタートアップが重要だからであって、上場か未上場かは本来関係ないはず。そこを履き違えてはいけないでしょう。
逆に言えば、どれだけユニコーンが増えたところで、それらが上場後に失速するのでは意味がありません。
それはただのミスプライシングであり、バブルです。
この点、「ユニコーン」という言葉がキャッチーであるがために、ともすると一人歩きして、政策的に「バリュエーション1000億円以上の未上場企業を増やすこと」が目的化しかねない状況には、少々危うさを感じますし、実際にバリュエーションを過度に意識したがために経営に支障を来したと見受けられる事例もあります。
上場/未上場の区分というのはあくまで資本のロジックであって、事業のロジックではありません。
Pre-IPO/Post-IPOの区分を跨ぎ、スタートアップの成長を促す策こそが重要だと私は考えます。
そのうえで、Post-IPOスタートアップを加味してもなお、日本には「ユニコーン」が少ないと言われると、それはその通りなのかもしれません。
「日本はユニコーン企業がたった3社!」─海外が騒ぐ元テクノロジー牽引国の現状
https://newspicks.com/news/4471253
それでもGDP比、経済の実力を鑑みてまだ少ない。仮に新興上場済みのユニコーン「的」会社を加えても20社足らず、米中の200社前後はともかくとしても日本の半分の経済規模のインドは既に40社ほど、英国も30社ある。
その理由は、第1に国内市場の成長性が無いから、第2に海外市場獲得が苦手だから、明確にこの2つです。
前者の市場成長率が高いからインドでは毎月1社ユニコーンが生まれている。後者のグローバル市場で戦う事が得意だから英国ロンドン、ドイツベルリンにはユニコーン級が多数生息している。
スタートアップの繁栄とは乱暴に言ってその国家の繁栄を表す。
ゆえに本質解は、国家の経済力を上げる事と、グローバリズム対応となるでしょう。両者ともにその本質は国際競争力ある人材の育成・蓄積・招聘に尽きるでしょう。特にハイテク人材とグローバルマネジメント人材です。
「ユニコーン級ともいうべき成長会社群」が諸外国に比べて少ない、のは事実のようですが、その理由のかなりの部分が、海外展開の弱さ・さりとて国内市場が大きいが経済は成長していない、という点になります。
内需がさらに巨大かつ成長が続いている米、中、印、そうでもないが海外展開が得意な他の国、とくらべこの2条件を両方満たしているのは日本だけです。キャピタルは工夫次第で呼び込めますが、海外展開は容易ではありません。
やってみればわかりますが、国内市場を攻略&防衛しながら、さらに他国市場に重要な経営リソースを割いて出ていき、しかもローカルのトップスタートアップと戦い各国で連勝するのは、机上の想像を超えた難しさがあります。