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ハイブリッド車でまだまだ稼ぎたいトヨタなど日本メーカーから見れば、環境性能でハイブリッド車の方がピュア電気自動車より当面勝ることを訴えることができます。
それぞれ利があると踏んでの連携ですね。
『日米欧の車メーカーやクラウド大手など100社・団体が2022年にも、車載電池の二酸化炭素(CO2)排出量を正確に把握するための国際ルールを作る。』
そもそも、全バリューチェーンで正確に測ることというのはとても難しいという認識。だから「どういうルールを作るか」という部分は、ものすごく重要。ルールメイキングで、少なくとも競争劣位とならないように願う。
『新ルールでは、CO2排出記録に信頼性を持たせるためブロックチェーン(分散台帳)を使う。』
手段が目的化している気が…これはいわゆるビットコインのような「第三者が信頼できない前提で、誰が見ても真正性が担保される必要」はないと思う。信頼できない前提だとマイニングなどが必要(そしてそれが計算資源を食い二酸化炭素も輩出する)。でも一定の信頼前提を置けるのであれば、ブロックチェーンを使うならコンソーシアム型になるし、そもそもブロックチェーン以外の方法もある。
そして、ビットコインは「情報そのもの」だが、二酸化炭素排出やそれに伴う全バリューチェーンや利用のアクションは実物。データが真正でも実物がそれとリンクしているかの保証は「オラクル問題」と呼ばれ、そこまで含めて担保しにいくことを考えたときに、どこまで技術メリットがあるのだろう?
https://medium.com/chainlink-community/what-is-the-blockchain-oracle-problem-bc7bdb6425c6
排出履歴の計算といっても、実際には様々な考え方があり、単純ではありません。
わかりやすく言えば、日本の再エネをバッテリー生産に集中的に使ったとみなせる制度を作ってしまえば、バッテリー以外は違っても、バッテリーだけは再エネ100%で生産、という事も可能です。それが今日本で行っている再エネ価値取引制度の議論。
これだけ聞くと「ズル」のようですが、現行の考え方では、それもOKとなっています。ただ、例えば再エネの追加性条項や、事業者が再エネや脱炭素の為に払っているコスト水準などをルールにされると、今後アウトになるかも知れません。
現在の所、EUで議論されている炭素国境調整(CBAM)は、ロシアやトルコの石炭やセメントなどのバルクをターゲットにしていますが、いずれバッテリーも範疇にはいって来ます。その頃にはどうなっていることか。WTOは息してますかね。
したがって、その部分のCO2排出量を、どう計算するか?どう正確に把握するかが、全体のCO2排出量把握の正確さに直結します。
重要なポイントは「日米欧で共通ルール」という部分です。現状、LCAの計算では、各地域で、個別の計算方法などが用いられているため、それにより、結果が異なるため、地域により主張が異なるという結果になってしまっています。
少なくとも、電池に関しては、共通ルールができれば、不毛な論争が避けられるということは大きなメリットです。
※個人的な見解であり、所属する会社、組織とは全く関係ありません
https://energy-shift.com/news/7deb9608-1ac4-4a1d-851a-9ef878d6097c
こうなると国内の電源構成上、圧倒的に火力発電が多い日本では、いくら優れたEVを開発したところで、日本で生産すると言う選択肢は狭められることになります。EVを戦略的に優遇し市場を拡大している中国においても、石炭による火力発電が国内の電源構成の多くを占めています。
一方でEU内は原子力発電や風力発電比率が高いために、自動車の工場を誘致しやすいと言うことになるようです。
木を見て、山を見ずとならぬよう一つ一つの問題を達成し、可視化して基準をどんどん設ける事とバックキャスティングが今後ますます様々なシーンで導入されそうですね。
Rules rule!