バーゼル委、ビットコインに厳しい規制案
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これは、必ずしも「厳しい」規制案というわけでもないと受け止めています。
金融機関が自己ポジションで保有する「金融資産」にリスクウエイトを定めて、それに応じた「資本」のリザーブを求めることは国際的な金融規制の分野ではこれまでも行われていること。国債、事業法人債、証券化商品などに適用されているルールをビットコインなどの暗号資産にも適用しようというだけのことで、議論されるべきは適切なリスクウエイトが割り振られているかという点であり、そこに歪みがあれば金融システムの不安定要因になる。サブプライム問題の背景の一つには、信用格付け毎に付与したRWにおける歪みがあったのは事実(それは「クリフ効果」と呼ばれています)。それについての協議が始まるということであるならば、「金融システム」の安定化にとっては好ましい動きが始まったということだと理解すべきでしょう。
注目のコメント
リスクウェイト1250%、すなわち、ほぼ同額の自己資本を保有せよというのは、他のアセットでも既に例がありますし、資産の性質を考えれば、この部分は特に「厳しい」とは言えないように感じます。
バーゼル委側が長年気にしてきたのは、バーゼル規制の枠組みに暗号資産を明示的に入れてしまうと、「暗号資産を持っても良い」というメッセージにならないか、ということであったと思います。これまで、銀行による暗号資産保有はきわめて限定的であったことも、こうした対応が続けられてきた背景であったと考えられます。
もっとも、最近のステーブルコインの増加などを踏まえると、この問題にそろそろきちんと対応した方が良い、という問題意識は良く理解できます。そのうえで、今回のバーゼル委規制案で注目すべきは、「ビットコイン型の(裏付け資産の無い)暗号資産」と「裏付け資産のあるステーブルコイン」の二類型を明示的に打ち出した、という点にあるように感じます。ステーブルコイン等の(一般的にボラティリティが小さい)ものを除き、ビットコインを始めとする仮想通貨は実質的に資本控除とする見通し。
つまり、銀行が保有と同時に全額損失処理するのと同等の自己資本比率への影響を反映する。これは証券化エクイティと同様な資本賦課の取り扱い。