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明るいニュースですね。
まだまだ課題はあるようですが、期待したいです。
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このニュースからポジティブな印象を抱く方が大半だと思うので、ネガティブな側面をここに列記しておきます。少なくともNewsPicksをご利用の方には、物事の両面を理解し、「盲目的」になることを避けてほしいと思っています。

承認申請の根拠になった試験結果を見てみると、確かにアミロイドβの量は薬の投与によって著しく減少しており、試験で用いられた「スコア」の上では薬の投与が2割ながら認知機能低下を遅くしていました。

しかし、これを実社会に当てはめた時に、患者さんのパフォーマンスや、介護をする家族、介護職の負担をどの程度減らせるかは試験結果からも定かではありません。あったとしても最小限なのではないかと推察されます。

また、当初の中間解析では差を示すことができず、単一の「再解析」の結果だけが根拠となっていて、同時に行われていたもう一方の試験では有効性を示すことができておらず、「十分な有効性がある」と支持できるだけの根拠がありません。そもそも「再解析」は有効性を示すのに適したものではありません。

これに対しては「少しでも有効な可能性があるのなら、何もないよりいいではないか」という批判もあるかもしれません。しかし、そこにも冷静な受け止めが必要です。そもそも、副作用のない薬などないのです。薬は常に「有効性」と「安全性」の天秤の中で使用されます。この試験の中では実際、約3割に脳のむくみや微小な出血といった脳の変化が生じていました。中には「混乱」や「転倒」といった症状につながっていたケースもありました。

また、抗体製剤は通常薬価が高く、コストも問題になります。継続的に投与される薬のコストだけではなく、副作用への対応で行われるMRIなどにかかるコストも考えると尚更です。費用対効果は本当に十分あると言っていいのでしょうか。

アルツハイマー病を克服したいという強い思いがあることは同じです。私も目の前の患者さんを一人でも多く助けたいです。しかし、ここまで得られた結果が示したものー認知症への限定的な効果、副作用リスク、コストーを見て、今自信を持って提供されうる治療とは、私は言えません。

引用文献
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31978357/
昨秋にFDA諮問委員会でエビデンス不足を指摘された経緯もあり、英字圏の事前報道では二分する科学的評価と共に新薬を待ち望む患者の思いがセットで報じられるパターンが多かったように思います。
NYTは「FDAにとって近年で最も論争を呼ぶ決定」と報じ、FTは「承認されたら椅子から転げ落ちる」という諮問委員会メンバーの声を伝えていました。もし今回承認されなければ、別メーカーが開発する似た作用機序の候補薬も道を絶たれ、アルツハイマーの新薬が生まれるのは当面先になっていたでしょう。
アデュカヌマブは欧州や日本でも規制当局が審査中で、今回のFDAの判断に続くか引き続き注目です。
今回FDAが承認した「アデュカヌマブ」は、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるたんぱく質「アミロイドβ(ベータ)」を除去する効果があるとされる医薬品で、従来の医薬品(やはり主なものはエーザイが開発)が原理的に進行を抑制することが限界であるのに対し、原理的に進行原因を取り除くことができるという性質をもつ点で画期的とされます。

治療の選択肢が増えることは望ましいのですが、実施された臨床試験の成績が微妙でした。一番の問題点は、当初計画した臨床試験計画では、効果があると判断するために必要な「統計的有意差」が出なかったたのですが、事後的に特定の対象で集計し直して「結果を出した」ところにあります。

抗体医薬という領域の価格が高い医薬品を、(この臨床成績で)費用対効果を重視する米国が承認するということはサプライズです。当医薬品の治療費は、年間5万6000ドル(約610万円)と企業から発表されており、当該領域の医薬品の性質上、生涯投与し続ける必要があります。

もともと、患者団体である「米アルツハイマー協会」が承認を熱望していた医薬品で、患者団体は必要性に関するロビー活動を積極的に行っていたとされています。米国を中心として、製薬企業は「社会貢献的な見地から」として患者団体対応に相当力を注いでいました。(医薬品でも「消費者団体強し」が欧米の流れです)

米国の場合、日本のような国民皆保険制度はありませんが、高齢者と低所得者に対する公的保険(社会保障の位置づけが強い)と任意加入の民間保険が保険支払者になります。ジェネリック医薬品がまったく存在しない場合は、オリジナル医薬品の保険適用がされる場合が多いと聞いています。この医薬品の場合、本来なら多くの保険プランで保険適応されるはずですが、保険会社の意向から「不可」とされる場合があることが予想され、そうなれば、(約款違反として)今後議論を呼ぶと思います。

記事にあるように、事後解析対象とした用量で使ってみて、効果が出ればそのままですが、出なければ承認を取り消す判断をするというかなり特殊な条件付き承認だと推察できます。

新型コロナワクチンの承認の時に日本の薬事行政は、「米国での承認があれば(日本での臨床成績が集まらなくても)追認する」方向に方針転換しましたので、その方向が継続されるか注目に値します。
やはり、βアミロイドの蓄積が進んで神経が破壊され認知症症状が進んでしまった症例には厳しいような。
今では認知症発症以前に診断ができるから、そういった方たちには福音かも。その研究も進んではいないけれども。
(そもそも将来直るかどうかわからない病気の診断を敢えて受けようという無症状の人は殆どいない...)

保険適応にするかどうかを決める”中医協”の今までの行動をみていると、日本でもあっさりと保険収載を承認してしまいそう。
この協議会には負担する側の配慮はない。企業側の代表もこの協議会に入っているのに不思議な話。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%99%BA%E5%8C%BB%E7%99%82%E5%8D%94%E8%AD%B0%E4%BC%9A
個人的には、もう一本大規模臨床を走らせ、容量依存的薬効の確認をさせるのだと思っていました(優先審査でありえるのかは知りませんが)。ただ、ノーエビデンスとも言えないわけで、AD治療の選択肢が増えたという点で良い話。市販後調査が要るようです、さすがに。
しかし、費用対効果の意見は割れそう。

BIIBより引用;
The wholesale acquisition cost (WAC) of ADUHELM, which is an infusion once every four weeks, is $4,312 per infusion for a patient of 74 kg–the average weight of a U.S. patient with mild cognitive impairment (MCI) or mild dementia. The yearly cost at the maintenance dose (10 mg/kg) would be $56,000. 。
この薬効果ないです。様々なアミロイドβ低減薬の効果を分析した結果、アミロイドβ取り込み削減0.1に対して、MMSE(ミニメンタルステート検査)で0.03の改善となっています。

健常者でもMMSEは年間0.13減少することを考えると、健常者の老化速度よりも治療効果が低いので、脳の萎縮が早いAD患者に使っても効果がないことは分かっているはずです。

Effect of reductions in amyloid levels on cognitive change in randomized trials: instrumental variable meta-analysis
https://www.bmj.com/content/372/bmj.n156.long

Anti-amyloid trials raise scientific and ethical questions
https://www.bmj.com/content/372/bmj.n805.full
今年1月に出した『アルツハイマー征服』の後半は、アデュカヌマブの薬の承認申請にいたる20年以上もの研究の歴史を書いています。

ワクチンによってアルツハイマー病のドミノ倒しの最初のドミノ「アミロイドベータ」を抜くという革命的な方法の発見が1990年代後半。そのワクチンAN1792の治験の失敗から、この薬「アデュカヌマブ」は生まれました。

アデュカヌマブの治験フェーズ3の評価項目は、

1、有意にアミロイドベータ、タウなどのアルツハイマー病の進行にともなって生ずる物質を減らしているか?

2、1によって認知機能に効果が見られるか?

今回FDAか下した判断は、1については効果あり、2についてはわからない、というもので、だから承認のあとフェーズ4の治験を行い、2の認知機能についての効果があるか、ということについて確認をしていきます。

今回の「Accecelated approval 」という制度は、市場にその病気に対する効果的な薬がない場合に、治験の最初の評価項目がすべて達成されなくとも、承認をし、患者に提供するという目的につくられています。

FDAは今回発表した声明のなかでこう言っています。

承認して、患者の選択肢を増やす一方で、バイオジェンに対しては、フェーズ4としてフェーズ3では証明できなかった2番目の認知機能への効果を評価項目とする治験を課す。それが達成できなければ、承認取り消しもある。

他の書き込みのなかで介護する家族や介護職の負担をどの程度減らせるかどうかわからない、という旨の書き込みがありましたが、これはワンサイドすぎるでしょう。

少なくとも治験の一方の高容量のグループでは、78週の時点で、プラセボ群よりも、介護職への負担を84パーセント減らし、食事の支度について91パーセント進行を遅くした、という結果が出ています。

いずれにせよ、薬がないアルツハイマー病では患者と家族の側に新薬は長く望まれていました。2003年以来、数々の新薬が打ち落とされたすえ、ようやく人々の手にわたるまず第一歩となったことを喜びたいと思います。

https://cutt.ly/2nWOYwQ

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エーザイとバイオジェンが共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬アデュカヌマブは、直接原因物質である脳内のアミロイドβを抑制することで病気の進行自体を遅らせることができる点がこれまでの薬とは違う点です。一方で年間治療費が約600万円と高く少なくとも4年間は薬価維持するとのことで、認知症患者数を考えると膨大な医療費になるという社会的な課題もあります。
ただ、アルツハイマー病の治療薬については製薬大手企業も長年苦労し続けておりなかなか新薬が出ない苦しい状況が続いてきたことを考えると、いくつか課題があるとはいえとても大きな一歩だと思います。
今回FDAに承認されたアデュカヌマブは分子標的薬の中でも、「抗体製剤」に分類され、名前に~マブとつきます。ターゲットを絞ったこの抗体製剤は、これまで乳がんのトラスツズマブ、悪性リンパ腫のリツキシマブなど、既存の薬を圧倒する効果を発揮し、悪性腫瘍や自己免疫疾患など、幅広い分野で用いられるようになってきました。一方で、今回のアデュカヌマブは抗体製剤でありながら限定的な治療効果しか発揮することができず、臨床試験では期待を大きく下回りましたが、これまでの認知症の治療薬開発失敗の歴史を振り返ると「夢の治療薬」と呼ばれるのも理解できます。

現在、アルツハイマー病で用いられている内服薬はドネペジル(アリセプト)などで、薬価は1日100円程度です。一方、アデュカヌマブの薬価は日本円換算で年間約600万円です。限定的な効果しか持たないこの治療薬がもし日本でも承認され、日本国内に約600万人いる認知症の患者さんに適応になるのであれば、医療費はこれまでに類をみない急激な増加をみせることになると思います。
山田先生をはじめとしたピッカーさんのご意見、大変参考になります。

私の父親もアルツハイマーになり、亡くなるまでの10年以上、母は大変苦労しました。私も今年の年末で還暦を迎えますが、アルツハイマー病は自分事として大きな関心があります。

この年になると同年配でガンに罹る人も増えてきますが、多くの方は治癒して復帰しています。ただしアルツハイマー病は生きながら自身と家族に大きな不安と負担を生み出します。

平均余命表を見ると、私は約25年、妻は30年以上となっており、100才まで生きる確率は私は5%、妻は17%ぐらいです。
父親を見ていた経験から、この病にかかって10年以上、場合により20年以上生きることは考えたくありません。
気分的には治療薬の開発と競争しながら生きていくと言う感じです。

研究者の方々の努力に大いに期待しております。
神経領域とがん領域に強みを持つ製薬会社。米バイオジェンと提携する認知症治療薬「アデュカヌマブ」、「レカネマブ」や、エーザイ創生の抗がん剤「レンビマ」の価値最大化に向けて取り組む。
時価総額
1.85 兆円

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