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アルツハイマー薬、米で承認=世界初、エーザイが共同開発

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    専修大学 商学部教授

    今回FDAが承認した「アデュカヌマブ」は、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるたんぱく質「アミロイドβ(ベータ)」を除去する効果があるとされる医薬品で、従来の医薬品(やはり主なものはエーザイが開発)が原理的に進行を抑制することが限界であるのに対し、原理的に進行原因を取り除くことができるという性質をもつ点で画期的とされます。

    治療の選択肢が増えることは望ましいのですが、実施された臨床試験の成績が微妙でした。一番の問題点は、当初計画した臨床試験計画では、効果があると判断するために必要な「統計的有意差」が出なかったたのですが、事後的に特定の対象で集計し直して「結果を出した」ところにあります。

    抗体医薬という領域の価格が高い医薬品を、(この臨床成績で)費用対効果を重視する米国が承認するということはサプライズです。当医薬品の治療費は、年間5万6000ドル(約610万円)と企業から発表されており、当該領域の医薬品の性質上、生涯投与し続ける必要があります。

    もともと、患者団体である「米アルツハイマー協会」が承認を熱望していた医薬品で、患者団体は必要性に関するロビー活動を積極的に行っていたとされています。米国を中心として、製薬企業は「社会貢献的な見地から」として患者団体対応に相当力を注いでいました。(医薬品でも「消費者団体強し」が欧米の流れです)

    米国の場合、日本のような国民皆保険制度はありませんが、高齢者と低所得者に対する公的保険(社会保障の位置づけが強い)と任意加入の民間保険が保険支払者になります。ジェネリック医薬品がまったく存在しない場合は、オリジナル医薬品の保険適用がされる場合が多いと聞いています。この医薬品の場合、本来なら多くの保険プランで保険適応されるはずですが、保険会社の意向から「不可」とされる場合があることが予想され、そうなれば、(約款違反として)今後議論を呼ぶと思います。

    記事にあるように、事後解析対象とした用量で使ってみて、効果が出ればそのままですが、出なければ承認を取り消す判断をするというかなり特殊な条件付き承認だと推察できます。

    新型コロナワクチンの承認の時に日本の薬事行政は、「米国での承認があれば(日本での臨床成績が集まらなくても)追認する」方向に方針転換しましたので、その方向が継続されるか注目に値します。


注目のコメント

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    マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー

    このニュースからポジティブな印象を抱く方が大半だと思うので、ネガティブな側面をここに列記しておきます。少なくともNewsPicksをご利用の方には、物事の両面を理解し、「盲目的」になることを避けてほしいと思っています。

    承認申請の根拠になった試験結果を見てみると、確かにアミロイドβの量は薬の投与によって著しく減少しており、試験で用いられた「スコア」の上では薬の投与が2割ながら認知機能低下を遅くしていました。

    しかし、これを実社会に当てはめた時に、患者さんのパフォーマンスや、介護をする家族、介護職の負担をどの程度減らせるかは試験結果からも定かではありません。あったとしても最小限なのではないかと推察されます。

    また、当初の中間解析では差を示すことができず、単一の「再解析」の結果だけが根拠となっていて、同時に行われていたもう一方の試験では有効性を示すことができておらず、「十分な有効性がある」と支持できるだけの根拠がありません。そもそも「再解析」は有効性を示すのに適したものではありません。

    これに対しては「少しでも有効な可能性があるのなら、何もないよりいいではないか」という批判もあるかもしれません。しかし、そこにも冷静な受け止めが必要です。そもそも、副作用のない薬などないのです。薬は常に「有効性」と「安全性」の天秤の中で使用されます。この試験の中では実際、約3割に脳のむくみや微小な出血といった脳の変化が生じていました。中には「混乱」や「転倒」といった症状につながっていたケースもありました。

    また、抗体製剤は通常薬価が高く、コストも問題になります。継続的に投与される薬のコストだけではなく、副作用への対応で行われるMRIなどにかかるコストも考えると尚更です。費用対効果は本当に十分あると言っていいのでしょうか。

    アルツハイマー病を克服したいという強い思いがあることは同じです。私も目の前の患者さんを一人でも多く助けたいです。しかし、ここまで得られた結果が示したものー認知症への限定的な効果、副作用リスク、コストーを見て、今自信を持って提供されうる治療とは、私は言えません。

    引用文献
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31978357/


  • WithMetis 代表取締役 理学博士(物理学)

    エーザイとバイオジェンの粘り勝ちでした。
    アメリカFDAは、エーザイとバイオジェンの開発していたアルツハイマー治療薬(抗アミロイド抗体)のアデュカヌマブを承認しました。
    臨床試験の第三相で、効果が得られなかったとして、試験を中止していましたが、一転、データを解析しなおして承認申請という異例の状態でした。高容量群については、効き目があるというのが再解析後の主張でした。
    FDAの裁定が注目を浴びていましたが、承認となりました。アミロイドに関わる作用機序を持つアルツハイマー治療薬候補は、ヒトでの有効性の証明に失敗し続けてきましたが、エーザイとバイオジェンがついに、承認を得ることに成功しました。
    患者さん並びにご家族のQOLが改善されることを願ってやみません。
    一旦、一つの薬で承認が得られれば、同じ作用機序の医薬品は他社が力をいれてきますし、他の作用機序のアルツハイマー治療薬候補にも注目が集まります。他の作用機序で言えば、タウに関連する医薬品が次に注目を浴びてきます。タウの蓄積やリン酸化はアミロイドの蓄積に遅れておこるので、こちらは、病気がある程度、進行した患者さんにも効果があることが期待されています。


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    毎日新聞 ニューヨーク支局専門記者

    昨秋にFDA諮問委員会でエビデンス不足を指摘された経緯もあり、英字圏の事前報道では二分する科学的評価と共に新薬を待ち望む患者の思いがセットで報じられるパターンが多かったように思います。
    NYTは「FDAにとって近年で最も論争を呼ぶ決定」と報じ、FTは「承認されたら椅子から転げ落ちる」という諮問委員会メンバーの声を伝えていました。もし今回承認されなければ、別メーカーが開発する似た作用機序の候補薬も道を絶たれ、アルツハイマーの新薬が生まれるのは当面先になっていたでしょう。
    アデュカヌマブは欧州や日本でも規制当局が審査中で、今回のFDAの判断に続くか引き続き注目です。


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