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だからと言って国が出てきてもすぐには対処できません。半導体メーカーの稼働率はほぼ100%近く、TSMCだって儲からない車載半導体を四半期ベースで30%増ずつ増産していますが、間に合っていません。
今後はAI、IoT(最近はDXと名を変えました)、5G、自律化、セキュリティなど半導体が伸びる余地は極めて多くなっています。ですから半導体製造を受け持つ会社が世界各地で出てきても不思議ではありません。むしろ日本に出てこないことが不思議です。ただ、半導体はR&Dコストが売上の10~15%程度占める産業ですから、国がやるべき仕事はR&Dコストに対する支援です。毎年の補助金や税制優遇などを世界の半導体企業は求めています。
供給面では、コロナ禍よりも、米中摩擦の影響が大きく、火災などもある。米制裁で、中国SMICのラインが使えず、TSMCなど台湾ファウンドリに集中した。また、コロナ禍で新工場の装置搬入が遅れるなど立上げ遅延もあった。昨年10月のAKM火災、2月のマイクロン火災、3月のルネサス那珂火災、台湾TSMCも水不足、電力不足、労働者不足、土地不足、人材不足の5欠に加え、火災の影響も大きい。
需要面では、コロナ禍でのテレワークでは、ZOOMでPC需要増加、搭載メモリ向上、スマホ需要も意外と健闘、昨年秋以降の急激な自動車生産立ち上がり、サプライチェーン乱れや需給タイト化を懸念して、仮需も発生、流通側が多めに発注、在庫を増やした。
このため、コロナ禍が一巡した後も、米中摩擦の中で、サプライチェーン改革が進み、中国や地政学リスクが大きい台湾ファウンドリに依存しない体制ができるまでは、混乱が生じよう。需要面では、テレワークの流れは不可避である。
半導体不足の構造的原因は、需要面では、自動車を中心とした半導体の搭載率アップである。半導体の用途別市場は、かつては、情報(PC30%とサーバー15%)45%と通信(ケータイ15%とインフラ10%弱)25%弱の計70%、家電15%、クルマ10%弱、産機他10%弱であったが、現在は情報通信70%(PC15%、サーバー15%、スマホ30%、インフラ10%) 家電10%弱、クルマ10%強、産機他10%強となっている。最大の市場になったスマホでは、BOMコストは35-45%だが、ディスプレイが10%~15%あり、半導体は25~30%となる。ほぼ30%が上限に近い。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00065/00462/
メーカーとしては、どんなに小物でも半導体ひとつ足りないだけで完成品はできないので、枯れてるはずの思わぬ小物がボトルネックになる。そしてそういう小物は汎用なので業界を超えて使われているし、短期的に需給が逼迫しているからといって今更新規投資が行われるような類のものでもない。
これは個社レベルでコントロール可能な領域が小さい、相当に難易度の高い問題なので、もし国の介入で安定するのであれば歓迎したい。
かつて米GlobalFoundriesは政府連携しつつ中東アブダビのファンドから資金を得てIBMの近くの都会に生産拠点を持っていました。安定供給に加え、細かな設計変更にも対応できる競争力を持つためです。
ここ数年、日本では技術分野に大きな政策投資をする機構づくりに苦心しています。経済安全保障の叡智を経産省ほか担当部局に集めましょう。
最先端ももちろん重要だが、古いラインの重要性や需給のタイトっぷりについては、コメント欄など含め下記も併せて(①は1月末のPickだがその時点でKenjiさんがコメントされている)。
①https://newspicks.com/news/5562158
②https://newspicks.com/news/5794349
③https://newspicks.com/news/5890103
では合弁なのか? 清水氏は、「国際的な半導体の安定供給、という観点での一般論」と断った上で、次のように解説した。
「40nm・28nmといったプロセスは、すでに減価償却が終わった生産ラインでもある。これから新しく工場を作った場合そこから償却が始まるので、海外勢に対しコスト的に競争力がなくなる。もし、そこに金銭的サポートが国から得られるスキームであれば、安定供給にも国際競争力としても意味がある」(清水氏)
TSMCなどの半導体製造企業は、幾世代にも渡って半導体の生産ラインを準備している。1つのラインを作るには数千億円単位のコストがかかる。だが、前述のように半導体には色々な種類がある。最先端のものはもちろんだが、その後もニーズはある。一度作ったラインの設備を使い、価格が安く利益率は低いものの、よりニーズの高い半導体向けに回していくことで、投資効率を最大化しているのだ。
ラインを作れても、減価償却を含めたコストを考えると競争力の問題が出る。先を走る製造企業に追いつくには、一気に費用を積んで不利をカバーするしかない。
これまでは、あえてそこで無理をするところは少なかったわけだが、地政学的なリスクが生まれ、半導体不足が各メーカーの経営に大きな影響を与えるのが見えてきたため、「国の側がリスクヘッジとして支援する」流れが見えてきたのだ。
(以下本文抜粋)
ソニーは自社のイメージセンサーは「積層型」を特徴としている。イメージセンサーの後ろにロジック半導体をくっつけることで、積層型イメージセンサーだけで画像処理・AI処理を行なえるようにしているのだ。そこで使うロジック半導体は、PCのCPUやGPUのような最先端プロセスは不要で、40nmから22nmの「枯れた」プロセスが使われている。
ソニーの「AI搭載型イメージセンサー」、IMX500。同社が得意とする「積層型」で、イメージセンサーの後ろにロジック半導体がある。この構造は同社の特徴である
そうしたロジック半導体をソニーは外部から調達しており、ここでは「半導体不足」で逼迫している生産ラインの影響を受ける。「複数の企業から調達しているのでリスクは回避できている」(清水氏)というが、リスクであることに変わりはない。
半導体工場を、という話が出てくるのはこのためであり、自社に近いところで生産できれば、リスクは大幅に減る。
だがソニーは「自社だけでロジック半導体の工場を作るつもりはない」(清水氏)という。
では合弁なのか? 清水氏は、「国際的な半導体の安定供給、という観点での一般論」と断った上で、次のように解説した。
「40nm・28nmといったプロセスは、すでに減価償却が終わった生産ラインでもある。これから新しく工場を作った場合そこから償却が始まるので、海外勢に対しコスト的に競争力がなくなる。もし、そこに金銭的サポートが国から得られるスキームであれば、安定供給にも国際競争力としても意味がある」(清水氏)
日本に必要なのは、ArmやNvidia、Appleなどのファブレス産業
「現在足りないとされているのは、そうした「最先端ではない半導体」の方と言っていい。」
「40nm・28nmといったプロセスは、すでに減価償却が終わった生産ラインでもある。これから新しく工場を作った場合そこから償却が始まるので、海外勢に対しコスト的に競争力がなくなる。」
イビデン(後工程)不要の3D技術
https://twitter.com/Johoshushupopo/status/1400434631124537353?s=19
プロセスルールと開発年代
https://twitter.com/asianews_ch/status/1388371633555918850?s=19