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ほぼ同じ時期に導入された英国のデジタルID、Verifyは、目指していた普及率、利用可能サービス数、費用対効果が達成できなかったため、導入5年で民間に譲渡されることになりました。マイナンバーカードには合計8800億円が投入されたことが、3月に国会で議論されています。課題指摘するだけでなく、どうしたらよいのかが議論されていないのが、残念ではありますが。
またデジタルIDでは、運転免許証やパスポートのグローバルなデファクトができつつあり、日本の規模や技術力で独自路線を行くと、直接・間接コストで跳ね返ってきます。
それを踏まえ、マイナポイントなどの経済的インセンティブを付した普及促進策の効果をEBPMの観点から検証すべき時がきているとも思います。
1年に及ぶコロナ禍は消費の分野におけるキャッシュレス決済の比率を著しく引き上げました。どうやらその背景は、民間各社による「ポイント還元」というよりも感染症への忌避意識の高まりによるものが多かったのではという指摘があります。
これらを検証し、費用対効果の高い普及促進策を行動経済学の知見をしっかり生かしながら、構築する必要があります。その際、「利便性」が鍵の一つであるようにも思います。
その点では、健康保険証とマイナンバーカードの一体化における遅れは痛手だったと思います。人々の行動をどうやって誘引するか、行政のデジタル化を支えるシステムの設計をどうするか、など全体を見渡して策を打ち出せる政府の司令塔機能の構築が急がれます。