ソフトバンクが楽天モバイルを提訴、約1000億円の損害賠償請求権を主張
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証拠保全手続きで、ソフトバンクが主張する電子ファイルが発見されるか否かが大きな争点になりそうですね。
ただ、当該社員が不正競争防止法違反で逮捕されていることを斟酌すれば、「持ち出した」事実は(おそらく)明らかなのでしょう。
楽天側がそれを知って自社のシステムに利用していたか?
それを裏付ける証拠があるか?
注意深く見守っていきたいと思います。
注目のコメント
SBのリリース。
https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2021/20210506_01/
楽天のリリース。
https://corp.rakuten.co.jp/news/update/2021/0506_01.html?year=2021&month=5&category=corp%20mobile
従業員が逮捕された際の楽天のリリース。
https://corp.rakuten.co.jp/news/update/2021/0112_02.html?year=2021&month=1&category=mobile
この手の話は当事者でないと分からない話・論点が沢山あるので、外部でガチャガチャいっても仕方がないところがあると思います。タイトルには「1000億円」という衝撃的な数字が踊っていますが、おそらくこの損害賠償請求は、本件の主要な論点ではないでしょう。
不正競争防止法の不正競争行為による損害賠償の対象は、あくまで「これによって生じた損害」です(第4条。民法第709条同旨)。
問題となっている技術が基地局で実際に使われているのであればともかく、少なくとも記事中には「…当該不正競争により建設された基地局等が存在することを明らかにすべく」とあるとおり、ソフトバンク側も、現段階では基地局等での不正競争行為があったことについて、断定していません。
…というわけで、1000億円の損害賠償請求は、単なる話題作り程度の話でしょう。実際の請求額はその一部としての10億円ですし。本当に1000億円の訴訟にしようものなら、手数料だけでも結構な金額になります。
…となると、ソフトバンク側が狙っているのは、あくまで差止請求の部分が中心と推察されます。
あとは、企業としての姿勢や技術の優位性を示すなど、純然たる法的紛争解決とは別の目的があるのかもしれません。
これに対し、楽天側の対応としては、基地局で使用されている技術が、自社開発のものであることを立証できるかどうかがポイントとなります(いわゆる「具体的態様の明示」。不正競争防止法第6条)。
そこで重要な点としては、自社開発の証拠として、開発過程がしっかりと記録に残っているかどうかです。今どきであれば、IT関係の技術の開発過程がまったく残っていないことはないはずで、立証そのものが難しいわけではないと思いますが…
【参照】逐条解説不正競争防止法
https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/20181129chikujyokaisetsur.pdfソフトバンク側が提訴するのは至極真っ当ではあります。
そして楽天モバイル側としては、「こんなことで争う気はサラサラない」というのが本音だと思います。
弊社もこのような事件に巻き込まれたことがあるからわかりますが、企業はこんな問題を進んで起こすことはありません。正直「勘弁してよ」という気持ちも強いはずです。
個人の問題にしてしまうのはかわいそうですが、情報を持ち出した元社員が独断で動いた可能性が高いと思います。そして、こういう事件を起こしてしまった人は、もう業界内で働くことは不可能です。
情報を持ち出したら履歴が残ってしまう時代です。人生を棒に振ってしまうことにもなりかねないので、情報セキュリティに対する社員教育は強化する必要があります。