FRB議長、米経済は改善も「窮地脱せず」 人種・教育格差が課題
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注目のコメント
FRBが標榜する「高圧経済」は、現在の政治経済環境の下でpolitically correctだと思いますし、格差是正に関して金融政策が果たしうる貢献だと思います。
ただし、本当にこの政策目的を達するためには、中央銀行が緩和的な金融環境を維持している間に、財政や構造政策の面でより直接的で有効な対策が講じられることが必要です。
その意味では、政策目的には違いがありますが、ポリシーミックスの重要性という点で、2013年春の日本における「共同宣言」と似たような構図になっています。原文は、
”the Fed promotes maximum employment and price stability—two foundations of a strong, stable economy that can improve economic outcomes for all Americans. We view maximum employment as a broad and inclusive goal.”
です。
「インフレ高進リスクがあっても雇用拡大を優先する」とは一言も言っていないので、この報道の仕方はどうなのか、、、と思います。(ここだけカギカッコで敢えて括っていないところが、むしろ「そのまま引用した訳ではありませんよ」と、記者が逃げ道を作っているような恣意的な印象を受けます。)
パウエル議長の言い振りは、連邦準備制度が、いわゆる「デュアル・マンデート」を説明する際に一貫して行ってきている説明ですので、それをこのように報じるのは、報道としてさすがにやり過ぎと感じます。連邦準備制度も誤解されないよう、直ちに原文を公表しているわけですし。財政政策効果によって近い将来GDPギャップの解消が見込まれますが、これはあくまでマクロ経済での話。内訳をみると、コロナ前を上回っているセクターもあれば、コロナ前を大幅に下回っているセクターもあり、両者を平均すれば「元に戻った」ように見えるだけです。不況セクターを重視すれば「窮地脱せず」という判断は正しいと思います。