米バイデン大統領 施政方針演説 主な内容
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まとまった演説でした。総花的でしたが、大きな失敗もサプライズもなし。
就任100日直前でこれまでのPR(新型コロナウイルス対応など)と議会への支援要請(インフラ整備、子育て支援・学費支援などの「ファミリープラン」)。
通常は600人強を入れる議場に、コロナ対応で200人程度に絞ったため、演説と拍手の応酬の機会も例年よりも限られていました。その分、1時間5分が中身があった感じ。やはり下院議長も上院議長(副大統領)も女性という史上初めてのシーンは印象的。
隠れテーマは「民主主義」。独裁との対比で、民主主義陣営を引っ張るアメリカの優位性を強調。中国をかなり意識し、中国を何度も言及。
最初に「firstlady and her husband 」と言い間違い(まるで「つかみ」のような冗談かと思いました)。その後は問題なし。民主主義の優位性や教育の重要性などをかかっていく終わりの部分に向けて、スイッチが入っていた演説。
演説全体として超党派の呼びかけが目立っていました。昨年の一般教書演説のペロシ議長の演説破りや、ラッシュ・リンボウへの勲章授与という衝撃が嘘のよう。対立党議員からの拍手は例年通りほとんどないのですが、気候変動のところで共和党議員も何人か立ち上がり拍手していたのは印象的。
共和党側のスコット上院議員の反論演説は「バイデン演説は国民を分断させる」とは指摘しているものの、例年の対立の煽りのような印象まではなし。スコット議員は、トランプ政権の「ワープスピード作戦」でワクチン接種が進んだ点や、共和党側も昨年の超党派の協力でコロナ対策も進んだことも当然主張。
個人的には、かつての「民主主義の兵器庫(arsenal of democracy)」のように「ワクチンの兵器庫( arsenal of vaccine)」という言葉が印象的。積極的なワクチン外交で世界を支えるというメッセージ。
また、アフガン撤退を宣言する部分でミリー 統合参謀本部議長は議員の多くがスタンディングオベーションの中、もちろん立ち上がらず、(画面では遠目でわかりにくかったですが)拍手もしなかったのは立場上、当然かもしれません。
「インフラ投資案はアメリカ再生するためのブルーカラーに焦点を当てた設計図(ブループリント) 」という部分もブルーカラーの家庭で育ったバイデンが言うと説得的。一番注目されたのは、不法移民の流入についての箇所だろうと思います。
当然内容は多岐にわたり、富裕層への増税、銃規制、LGBTQの擁護、脱炭素、といった内容は、従来からの主張通りでした。
米国にとっての不法移民とは、主に中南米からの流入を意味します。2021年3月の流入は、前年同月比の5倍で、17万人を超えていました。この問題については、バイデン政権は、従来主張していた受け入れ許容の政策を表明しなくなりました。方針転換が示されたかというと、この施政方針演説ではほとんど言及されませんでした。米国はこれからワクチンを世界に供給していく。1月20日の就任時には考えられなかった。日本や欧州が冬の感染拡大に苦しむ中、あっという間に1億回、2億回のワクチン接種を前倒しで達成し、7月4日の独立記念日までに必要なワクチン接種を完了する見込み。まずはアメリカ国民に接種完了するのが先決だが、その後は世界のためにワクチンの兵器庫(arsenal of vaccination)になると宣言した。感染が急増しているインドには人工呼吸器、治療薬のレムデシビル、ワクチンとともにその接種ノウハウも提供する。自国の製造力、経済力があればこそ、他国にも支援ができる。中国との競争にも勝てる。中間層の利益にもなる。まさに、アメリカは再び動き出した、という感じ。