世界輸出に占める中国シェア上昇、目先ピークの公算も=国連機関
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UNCTAD発表による,輸出額ベースでのモノの輸出に関する中国のシェアが2020年で14.7%に上って,ピークになるかもしれないという記事です.
ちなみに元データは↓にあって,輸出額は2.59兆USD,シェアは14.737%とのことです.
http://unctadstat.unctad.org/EN/
ちなみに,アジアから北米向け,欧州向けのコンテナ輸送では,中国からのシェアが60-70%近くのシェアがあります.こちらはコンテナの個数ベースですが.
記事で言うとおり,中国の割合がピークに達している(かもしれない),というのはわかる気がします.コンテナ輸送では軽工業品の割合が多いため,中国からのシフトが起こり,ベトナムやインドネシアなどへ輸出の重心が移動していることはっきりと見えてきています.ただし,三点気になっていることがあります.一つ目は,東南アジアの製造規模で現在の中国の規模を代替できるのだろうかということです.二つ目はハイテク産業に関しては,水道,道路,電力といったインフラもそうですし,取扱企業のノウハウなどもあることから,これまでの歴史がモノをいうところがあることです,三つめは中国は内需自体が大きいということです.これらの理由から,製造拠点としての中国のシェアはある程度のところで下げ止まるのではないかな,と予想しています.モノの輸出に占める中国のシェアの推移は次の通りです
2000年 4.1%
2005年 7.3%
2020年 10.3%
2015年 13.2%
2016年 12.9%
2017年 12.7%
2018年 13.1%
2019年 13.2%
2020年 14.7%
トランプ大統領が登場した2016年から2017年に掛けて停滞したものの徐々に盛り返し、コロナ禍で世界の生産が滞る中、一気にシェアを拡大した形です。
中国の製造業の就業人口は日本の全人口に近い約1億人と言われ、様々な産業が集積しています。中国依存にリスクを感じた国々がサプライチェーンの再構築を目指していますが、中国の製造業を丸ごと肩代わりできる国はもはや無く、工場をベトナムその他の国々に移しても部品は中国に依存する、といったことが起きかねません。
長く停滞を続けていた中国は、1992年の南巡講話で共産党一党独裁を守りつつ経済を自由化(改革開放)し、徐々に成長を始めました。「2001年の世界貿易機関(WTO)への加盟だったという」とありますが、成長を始めたとはいえ2001年時点で中国の経済規模は米国の10分の1で、先進民主主義国家にとってものの数ではありませんでした。
中国が経済を自由化して成長しようとするなら、それを助けて多少豊かにしてやれば、中国も自由主義経済に必須の民主化が進んで自由民主主義陣営の仲間入りをするだろうと考えた先進国が米国の音頭で一党独裁体制のままWTO加盟を認めたのが2001年です。それ以降、中国は自由貿易を最大限活用して世界の工場として急成長し、コロナ禍の中で経済規模は米国の3分の2を大きく上回り、2030年を待たずして米国を超えると言われています。先進国が期待した民主化は進まず異形の大国が出来上がり、今では民主国家が脅かされるほどになりました。関与政策は失敗だったと言われる所以です。難儀なことではありますね・・・ (・・;