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小学生で「ヤングケアラー」となった彼女の苦悩

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  • マウントサイナイ医科大学 精神科 助教授

    記事の例のような親子の役割の逆転現象は、英語圏の精神医学界では"Parentification"という専門用語で表現され、"Parentifyする"というように動詞としても使われており、心理的な児童虐待の一種とみなされています。

    日本語訳は確立していませんが、「親化させてしまう」というのがその直訳です。親のように振る舞うことを期待された結果、そのように振る舞うようになってしまっている子供を”Parentified Child” と呼びますが、こうした子供たちを「しっかりした子」「頼りがいのある子」など、安易に理想化してしまう社会の風潮も、この問題の闇を深くしています。

    記事の例にあるような明確な児童虐待がある場合だけでなく、一見些細でわかりにくい"Parentification"も多く、子供に大きな心理的・情緒的負荷がかかっているにもかかわらず見過ごされてる例が大多数だと思われます。例えば、子どもが親や家族の身の回りの世話をするような状況だけでなく、親の愚痴や不満を子どもが聞いて励ましてあげるような心理的な役割逆転もParentificationに含まれます。

    このように、本来子供であるべき時期に子供である機会を奪われると、情緒的発達に深刻な悪影響が生じることが非常に多く、将来的に著しい心理的葛藤や社会生活の困難、様々な精神疾患の原因となることも稀ではありません。私が診療に当たっている患者さんたちにも児童・思春期に"Parentify"されたことが原因となって精神疾患を発症したり、生きにくさを感じている方を数多く見受けます。

    家庭・家族という閉ざされた空間で生じる現象であるため、明らかな身体的、精神的虐待がある場合ですら周囲からは気付かれないことも多いです。特に日本ではまだ子供は親の所有物、という感覚が強く残っており、他人の家庭への不介入という傾向が強いかと思いますが、子供を社会の一員として捉え、社会・行政が家庭に積極的に介入するしかこうした子供たちを救う方法はないと思います。

    私が診療するニューヨーク市内では児童相談所が非常に強い力を持っており、心理的、情緒的、身体的、性的の種類を問わず、通報から24時間以内に直ちに必要な介入を行います。医療従事者や教育関係者には通報義務があり、少しでも虐待の可能性が疑われる場合に通報を怠ると処分の対象になります。


注目のコメント

  • 総合コンサルティングファーム/認定NPO法人むすびえ プロジェクトマネジャ

    小学生で「ヤングケアラー」とは、私にとって想像を絶しますが、世の中にこういう方もいるのだと実感しました。

    どのように手を差し伸べればいいかわからないのが正直な所ですが、こうなる前に、もっと周囲が早くに気付く仕組み作りが重要ではないかと感じました。


  • 院生

    この方を支えてくれるのは、誰なのでしょう。家庭環境ってすごく大切で、精神の形成期を棒に振らされるともう根本的には治せないんですよね。結局この方は、苦しみながらも、ぐちゃぐちゃにされた心を毎日手入れしながら、長い間苦しむことになるのでしょう。でもこんなになっても、今まで生を選択され続けてこられたのには、尊敬の念しかありません。

    ↓記事の最後に全てがあるように思われます。
    --
    >「国もそうですけど、家族、世帯という単位に頼りすぎちゃっているから、ヤングケアラーが生まれるんじゃないかなと思います。家族だからケアすることが当たり前というふうに、いまは社会全体が思っちゃっているけれど、個人個人にだって生活がありますし、人生がある。だけれど結局『家族のなかで、なんとかしてよ』という制度だったりするじゃないですか。それはやっぱりまずいな、というのを一番思います」
    --

    結局誰も助けてくれないんですよね。
    親が精神安定剤飲んでぶっ倒れたりする人間でも、親に痣付けられたり、日々殴られないことを願いながらビクビク怯えて暮らしてても、それを先生に伝えても(解決しようとする先生がいても制度上何もできることはなく)無意味です。誰も助けてくれない。ましてや金も円満な家庭環境も十分にあった人になんか、理解されるわけがない。
    あっ、聞いた話ですが。

    助けられるのは国や地方自治体だけです。でも何もしてくれない。結局は自分なんです(ということにされる)。ので、そうするしかない。自助強制社会です。

    この方が幸せになれますように。


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